皇室の顔!トヨタ センチュリー ロイヤル徹底解説

センチュリー ロイヤル コラム

トヨタ センチュリー ロイヤル」について詳しく知りたいあなたは、その特別な存在感に魅了されていることだろう。この車は、天皇皇后両陛下をはじめとする皇室の方々が、国会開会式や国賓接遇といった特に格式高い公式行事で限定的に使用する御料車だ。市販車とは一線を画す「別物」として製作され、一般には販売されていない特別な車両なんだ。本記事では、この「トヨタ センチュリー ロイヤル」の導入背景や価格、そして側扉の観音開きや豪華な内装、さらには安全性を高める強化防弾ガラスなど、その唯一無二の特徴を深掘りする。

この記事のポイント
  • その導入背景と歴史について
  • 特徴的な外観や内装の豪華な仕様について
  • 価格と一般市場での入手の可否について
  • どのような場面で、どのように運用されているのかについて

トヨタ センチュリー ロイヤル:その特別な存在

センチュリー ロイヤル
インデックス
  • 御料車に選ばれた歴史と背景
  • 唯一無二の存在価値
  • 価格と高額な開発費
  • 一般には流通しない理由

御料車に選ばれた歴史と背景

日本における自動車の御料車の歴史は、1912年の大正元年、英国のデイムラーが初めて導入されたことから始まった。その後も、ロールスロイス、メルセデス・ベンツ、キャデラックといった海外の高級車が歴代の御料車として採用されてきた。長らく輸入車がその役割を担う中、1967年の昭和42年になって初めて、プリンス自動車(現日産自動車)が開発した「プリンス・ロイヤル」が国産御料車として宮内庁に納入された歴史がある。

このプリンス・ロイヤルは、約40年間にわたって皇室の重要な移動手段として使われてきたが、車両本体の老朽化や部品調達の困難さにより、その維持が限界に近づいてしまった。そこで後継車の選定が必要となり、日産自動車が新たな御料車の納入を辞退した結果、トヨタがその大役を担うことになった。トヨタが御料車を製造・納入するのは、この「センチュリーロイヤル」が初めての事例となる。

センチュリーロイヤルは、国会開会式や全国戦没者追悼式、そして国賓接遇といった、特に格式の高い公式行事に限定して使用される車両である。一般的な公務や私的な外出の際に用いられるトヨタ・センチュリーとは区別され、皇室専用の「皇」ナンバーが与えられている点が特徴だ。トヨタがこの御料車の開発を請け負った背景には、単純なビジネスとしての採算性だけでなく、「真の国内最高級車を開発する」という企業の威信とプライドがあったと言われている。開発費は高額に上るものの、その存在自体がトヨタ・レクサスブランドの価値を高める象徴的な意味合いを持つため、金銭で測れない価値を見出したのである。御料車に関する詳細は、宮内庁の公式サイトでも一部確認できる。

唯一無二の存在価値

センチュリー ロイヤル

トヨタ・センチュリーロイヤルは、一般の市販車両とは一線を画す、まさに唯一無二の存在である。この車両は、市販されているトヨタ・センチュリーをベースとしているものの、トヨタ社内での開発コードネームが「大きな車」であったことからもわかる通り、「別物になるほどの改良」が加えられている。細かな変更点としては、例えば市販車が右側にある給油口が左側に移されていることなどが挙げられる。

日本国の象徴たる皇室が使用する車両として、センチュリーロイヤルはその存在自体が最高の技術と格式を体現している。国賓を接遇する際にも使用されるため、日本の顔として、その威厳ある姿は国際的な場でも注目を集める。世界中のVIPが自国の御料車を誇るように、センチュリーロイヤルは日本の自動車技術の最高峰を示す存在と言える。

「皇1」といった特別なナンバープレートが与えられたこれらの車両は、一般に販売されることはない。これは、御料車としての品格を厳格に維持するためであり、同時に厳重なセキュリティを確保するという重要な理由がある。宮内庁との契約には、車両の製造・納入に関する事実を広告宣伝に利用しないという特記も含まれており、その秘匿性の高さがこの車両の特別な価値を一層際立たせている。このように、センチュリーロイヤルは単純な移動手段を超え、日本の伝統と最先端技術、そして国家の威信を乗せて走る、まさに動く「国宝」とも呼べる特別な存在として位置づけられているのである。

価格と高額な開発費

トヨタ・センチュリーロイヤルの価格は、その特殊な性質を反映して非常に高額に設定されている。天皇・皇后が公務で使用する標準車(「皇1」)は、1台あたり5,250万円(税込)とされている。この価格は、一般の高級車とは一線を画すものである。

さらに、国賓接遇のために防弾・装甲性能が強化された特装車(「皇3」「皇5」)は、1台あたり9,450万円(税込)という、さらに高額な価格となっている。これらの車両は、最高のセキュリティと快適性を提供するために、特別な素材や技術が惜しみなく投入されているのだ。

しかし、これらの販売価格をもってしても、トヨタがセンチュリーロイヤルの開発に投じた総額は到底回収できないと言われている。開発費は総額80億円にも上るとされ、これは単純なビジネスとして成立するものではないことを示唆している。このプロジェクトは、商業的な利益を追求するものではなく、むしろトヨタが持つ技術力とブランドの威信を示すためのものだった。

このような高額な開発費用を投じてまで御料車を製造する背景には、「お金では買えない価値」をトヨタブランドにもたらすという企業の戦略的な狙いがある。それは、国産車メーカーとして最高の技術力と品質を示す象徴であり、世界の自動車業界におけるリーダーとしての地位を確固たるものにするための投資だと言えよう。結果として、この特別な車両はトヨタの技術力のショーケースとして機能し、ブランドイメージ向上に貢献しているのである。

一般には流通しない理由

トヨタ・センチュリーロイヤルは、その希少性と特別な目的ゆえに、一般市場には一切流通していない。これは、御料車としての「品格」を厳格に保つとともに、皇室のセキュリティを確保するために不可欠な措置である。市販車と混同されることのないよう、徹底した管理が行われているのだ。

「皇」という特別なナンバープレートが付与されている点も、その非流通性を明確にする要素となっている。御料車は、国会開会式や国賓接遇など、極めて重要な公的行事にのみ限定的に使用されるため、不特定多数の目に触れること自体が稀である。そのため、その姿を目にすること自体が特別な機会と言えるだろう。

実際に、一般からの購入希望の声は多数あるものの、これらの車両が市販されることはないとされている。これは、単に需要と供給の問題ではなく、皇室の移動手段という性質上、その運用と管理には極めて高い機密性が求められるためである。仮に一般に流通すれば、その特別な存在意義が損なわれる可能性も否定できない。また、宮内庁との車両購入契約には、製造・納入に関する事実を広告宣伝に利用することを禁じる特記が含まれている。このような厳重な取り決めも、センチュリーロイヤルが特別な存在として秘匿され、一般流通から隔絶される理由の一つとなっているのである。

トヨタ センチュリー ロイヤル:詳細と魅力

インデックス
  • 特徴的な外観とサイズ
  • 観音開きドアとその機能
  • 強化された防弾ガラス
  • 格式高い内装のこだわり
  • 寝台車が持つ特別な役割
  • 一般モデルとの主な違い
  • 最新モデルの進化と展望
  • トヨタ センチュリー ロイヤル:皇室を支える特別な御料車

特徴的な外観とサイズ

センチュリー ロイヤル

トヨタ・センチュリーロイヤルは、その堂々たる外観と圧倒的なサイズが最大の特徴である。具体的には、全長6,155mm、全幅2,050mm、全高1,780mm、車両重量2,920kg(標準車)という巨体を持つ。これは、ベースとなった2代目市販センチュリーの全長5,270mm、全幅1,890mm、全高1,470mmと比較すると、全長が885mmも延長されていることを意味する。

車体はストレッチリムジンとして3列8人乗り仕様に改造されており、市販モデルの5人乗りから大幅に乗車人数が増加している。これにより、広大な室内空間が確保され、天皇・皇后や皇族がゆったりと乗車できる設計となっている。その威厳あるスタイリングは、日本の最高級プレミアムカーとしての存在感を放ち、一目見ただけで特別な車両だと認識できる。一般のトヨタ・セルシオが小さく見えるほどのスケール感があり、単なる移動手段ではなく、格式と権威を象徴する存在としてデザインされている。車高も高く、そのシルエットは唯一無二の風格を醸し出している。

観音開きドアとその機能

センチュリー ロイヤル

センチュリーロイヤルの最大の特徴の一つが、その観音開き式の側扉である。このタイプのドアは、一般的な車両ではほとんど見られない特注仕様だ。観音開きドアの採用は、単なるデザイン性だけではない。天皇・皇后や皇族の方々の乗降時において、その動作をより美しく、そしてスムーズに行えるように資することを目的としている。開いた際に間口が広がり、姿勢を崩すことなく優雅な乗り降りを可能にするのである。

さらに、式典などで沿道に集まった国民に向けて、後席に乗車している天皇・皇族の姿がより明確に見えるよう、後部座席の窓や後方窓の窓枠が一体的に大きく拡大されている。これは、国民との距離を縮め、姿をはっきりと見せるための特別な配慮であり、御料車ならではの機能と言える。このように、観音開きドアは、単に利便性を追求するだけでなく、御料車としての格式と、国民への配慮という二つの側面を両立させるために重要な役割を果たしているのである。

強化された防弾ガラス

センチュリーロイヤルは、その特別な役割ゆえに、万全のセキュリティ対策が施されている。その最たるものが、窓ガラスに採用された強化防弾ガラスだ。これは、国内外の要人が使用するリムジンに共通して見られる防護策であり、外部からの脅威に対して乗員を保護するために不可欠な装備となっている。

特に、国賓を接遇する際に使用される「皇3」と「皇5」の特装車においては、この防弾・装甲性能がさらに強化されている。車両総重量も増加し、3,500kgを超えるため、準中型自動車扱いとなるほどだ。このような厳重な防御能力は、テロや不測の事態から皇室の方々や国賓を守ることを目的としている。安心して公務を遂行できる環境を提供しているのだ。高額な車両価格の一部は、こうした特殊な防護装備に充てられており、その機能は極秘事項とされている部分も多い。

格式高い内装のこだわり

センチュリーロイヤルの内装は、日本の最高峰にふさわしい、細部にわたるこだわりが凝縮されている。車内の天井には日本の伝統的な和紙が使用され、後部座席のシートには柔らかな手触りの毛織物が採用されている。さらに、乗降ステップには御影石といった天然素材が贅沢に使われているのだ。

特筆すべきは、前席が革張りであるのに対し、後部座席が布張りという伝統的な素材の使い分けである。この様式は、馬車の時代に由来するもので、雨ざらしになる御者席(前席)には耐久性の高い革が、そして主人が座る客室(後席)には座り心地と格式を重視した布が用いられた名残である。一般販売されているセンチュリーでは、前後のシートを異なる素材にすることはできないため、これもまたセンチュリーロイヤルならではの特別な仕様と言えるだろう。宮内庁からの設計要求の一つとして、後部座席からの乗降のしやすさが挙げられており、室内の床面を可能な限り下げる設計がされている。これにより、乗り降りの際の姿勢保持が容易となり、皇族の負担を軽減している。また、後席には伊勢神宮に天皇が参拝する際などに、三種の神器のうち「八尺瓊勾玉」と「草那藝之大刀」を安置するための台座が設置できる特別な構造になっている点も、御料車としての格式と役割を象徴する要素である。内装の修理やメンテナンスも、車両の開発から製造まで手掛けたトヨタ自動車が随意契約で担っている。

寝台車が持つ特別な役割

トヨタ・センチュリーロイヤルは、合計4台が宮内庁に納入されたが、そのうちの1台は、一般にはあまり知られていない特別な「寝台車」(霊柩車)である。この車両は「皇2」のナンバープレートを持ち、皇族の方々に不幸があった際の「斂葬の儀」(れんそうのぎ)など、極めて厳粛な儀式でのみ使用される。

この寝台車は、2008年に宮内庁に納入され、2012年6月に行われた寬仁親王の斂葬の儀で初めてその姿を現した。その後も、2014年の桂宮さまの斂葬の儀などで用いられている。その存在は極めて秘匿性が高く、「世界で1台しかない車両」と推察されるほどの唯一無二の存在である。外観は、通常のリムジン型センチュリーロイヤルのDピラー部をバックドアまで延長した、6ライトのオーソドックスなワゴンボディとなっている。尾灯のレンズは、リムジン型が赤一色であるのに対し、寝台車はクリアレンズ(内部で着色LEDが点灯)という違いがある。このような車両が存在することは、皇室の伝統と儀式の重要性を物語っており、単なる移動手段ではない、深い意味合いを持つ車両であることを示している。

一般モデルとの主な違い

センチュリー ロイヤル

トヨタ・センチュリーロイヤルは、市販のトヨタ・センチュリー(2代目GZG5#型)をベースに開発された車両だが、その実態は「別物になるほどの改良」が施された特注モデルである。この両者の間には、見た目だけでなく機能面でも大きな違いがある。

最も顕著なのは、前述の通り、車体サイズと乗車定員の差だ。市販センチュリーが全長5,270mmの5人乗りであるのに対し、センチュリーロイヤルは全長6,155mmの8人乗りストレッチリムジンへと大幅に拡張されている。これにより、後席の居住空間が格段に広くなっている。

また、市販車が通常のヒンジ式ドアを採用しているのに対し、センチュリーロイヤルは特別な観音開き式の側扉を備える。窓ガラスも市販車にはない強化防弾ガラスが採用されており、セキュリティレベルが大きく異なる。内装においても、市販車では前後のシート素材を別々に選ぶことはできないが、センチュリーロイヤルでは前席が革張り、後席が布張りという伝統的なリムジンの様式が採られている。さらに、給油口の位置が市販車とは反対の左側にあるという細かな違いもある。パワートレインについても、市販モデルの現行センチュリーがV6 3.5Lプラグインハイブリッドシステムを搭載しているのに対し、センチュリーロイヤルは5L V型12気筒エンジンを搭載している。これらの違いは、センチュリーロイヤルが皇室専用の目的のために、いかに特別な仕様で製作されたかを明確に示している。

最新モデルの進化と展望

御料車としてのトヨタ・センチュリーは、時代と共に進化を続けている。2019年には、それまでの2代目センチュリーをベースとしたセンチュリーロイヤルから、3代目センチュリー(UWG60型)をベースとした新たな御料車(「皇9」など)が導入された。これは、最新の技術とデザインが皇室の移動にも反映されていることを示している。

特に記憶に新しいのは、2019年の即位の礼・祝賀御列の儀で登場したオープンカー(「皇10」)だ。これも3代目センチュリーをベースに製作された特別仕様車であり、多くの国民から注目を浴びた。このオープンカーは、パレードの役割を終えた後、内閣府へ移管され、将来のパレードなどで活用される予定であった。

市販されている現行のセンチュリー(3代目)を見ると、その進化の方向性がうかがえる。ショーファーカーとしての快適性を追求するため、新開発のTNGAプラットフォームや、路面の状態に応じて減衰力を制御するNAVI・AI-AVSサスペンションシステムを採用している。パワートレインはV6 3.5Lプラグインハイブリッドシステム(PHEV)に刷新され、システム最高出力303kW(412PS)を誇る。これにより、圧倒的な静粛性と力強い走りを両立し、後席の乗員に快適な移動空間を提供している。また、走行中のこもり音を低減するアクティブノイズコントロールや、荷室からのノイズを遮断するラゲージルームセパレーターなど、徹底した防音対策も施されている。DRS(ダイナミックリアステアリング)による優れた取り回しやすさや、後席の乗り心地を優先する「リヤコンフォートモード」といった機能も搭載し、最新のセンチュリーは、最高級車の名に恥じない進化を遂げている。将来の御料車がどのような形でさらなる技術を取り入れていくのか、その展望は非常に興味深い。

トヨタ センチュリー ロイヤル:皇室を支える特別な御料車

  • 国会開会式、全国戦没者追悼式、国賓接遇など、特に格式の高い公式行事で限定的に使用される御料車である
  • 宮内庁管理部車馬課が管理し、皇室専用の「皇ナンバー」を持つ
  • 1967年から使用されてきた日産プリンスロイヤルの後継車として導入された
  • トヨタ自動車が2006年から2008年にかけて製作し、宮内庁へ納入した
  • 2代目トヨタセンチュリーをベースに大規模な改良が施され「別物」とされている
  • トヨタ社内での開発コードネームは「大きな車」であった
  • 標準車1両、特装車2両、寝台車1両の計4台が導入された
  • 標準車(皇1)の価格は5,250万円、防弾・装甲強化の特装車(皇3、皇5)は9,450万円である
  • 全長6,155mm、全幅2,050mm、全高1,780mmの8人乗りリムジンである
  • 側扉は観音開きを採用し、窓も大きく設計され、乗車した皇族の姿が明瞭に見えるよう配慮されている
  • 窓ガラスにはテロ対策として強化防弾ガラスが採用されている
  • 内装には天井に和紙、後部座席に毛織物、乗降ステップに御影石などの自然素材が贅沢に使われている
  • 運転席は革張り、後部座席は布張りというリムジンの古典的様式に従っている
  • 「皇2」はワゴンボディの寝台車(霊柩車)仕様で、2008年に製造され、2012年6月に初めて使用された
  • 一般市場には販売されていない特別な車両である
  • 修理や内装修理、間仕切り板の設置なども、車両の開発から製造まで携わったトヨタ自動車が担当している
  • 開発には総額80億円かかったとされており、トヨタの威信を示す象徴的存在である

この特別な車両は、まるで精密に作られた日本刀のように、その機能性と美しさが一体となって、国家の重要な場面を支える存在だ。

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