お正月の箱根駅伝を見ていて、「あの黒くて威圧感のある車、何だろう?」と気になったことはありませんか。選手たちが懸命に走るコースのすぐ脇を、静かに、しかし圧倒的な存在感で並走するあの車。それがトヨタの最高級車「センチュリー」です。私トヨタロウはもともとトヨタの内装設計部門に在籍していたのですが、箱根駅伝でセンチュリーが映るたびに「この車が大会でどんな役割を果たしているのか、もっと多くの人に知ってほしい」と感じてきました。この記事では、トヨタが箱根駅伝を全面サポートしてきた歴史的背景から、豊田章男会長の特注車センチュリーGRMNが持つ希少性の秘密、そして2024年の第100回大会で初登場した新型センチュリーSUVの知られざる魅力まで、設計者の目線を交えて詳しく解説していきます。
- 箱根駅伝におけるトヨタの車両提供の歴史と、なぜトヨタが全面サポートするようになったのか
- センチュリーが大会本部車に選ばれる理由と、各車両の具体的な役割
- 豊田章男会長の特注車「センチュリーGRMN」の希少性と、ナンバー「1867」が意味するもの
- 第100回大会で初登場した新型センチュリーSUVが話題を呼んだ理由
- 設計者目線で見たセンチュリーの静粛性・乗り心地のすごさ
箱根駅伝を彩るトヨタ センチュリーの姿

- 箱根駅伝とトヨタの車両提供の歴史
- 大会を支える運営車両としてのセンチュリー
- 豊田章男会長の特注車「センチュリーGRMN」の注目度
- 新型センチュリーSUVが話題を呼ぶ理由
- 提供車両の選定基準と多様な車種ラインナップ
箱根駅伝とトヨタの車両提供の歴史――なぜトヨタが全面サポートするようになったのか
正月の風物詩として長く親しまれている箱根駅伝は、多くの学生ランナーが東京・読売新聞社前から箱根・芦ノ湖間を往復する長距離駅伝です。全行程は217.1kmにおよび、毎年1月2日・3日の2日間で開催されます。これだけ大規模な大会が安全かつ円滑に進行するためには、選手の走りを支える「縁の下の力持ち」が欠かせません。その中心的な存在が、運営車両の提供というかたちで大会を長年支えてきたトヨタ自動車です。
トヨタが箱根駅伝に初めて関わったのは2003年の第80回大会で、このときは一部車両の提供からスタートしました。その後、2011年からはすべての運営車両を供給する特別協賛企業となり、運行を担当するドライバーも自社から派遣するようになります。この体制は2025年開催の第101回大会まで14年以上にわたって継続されており、単に車を貸し出すだけにとどまらず、駅伝コース沿いにあるトヨタの販売店が観戦グッズを配布したり、芦ノ湖畔のブースで募金形式の軽食提供を行ったりと、車を通じた支援にとどまらない多角的なサポート体制が築かれています。
じつは、箱根駅伝の車両提供の歴史をさかのぼると、トヨタが最初から担っていたわけではありません。1973年から1989年まではなんと陸上自衛隊が担当し、1990年からは三菱自動車が引き継ぎ、パジェロやスペースギアといった車種が大会コースを走っていました。ところが、三菱自動車の業績低迷を受けて、2004年からはホンダがバトンを受け取ります。ホンダは燃料電池車を導入するなど積極的に関わっていましたが、費用対効果を理由に撤退を決断。その後、それまで裏方として一部車両を提供していたトヨタが、2011年以降は大会を全面的に支える存在となったのです。
- 1973〜1989年:陸上自衛隊が担当
- 1990〜2003年:三菱自動車(パジェロ・スペースギアなど)
- 2004〜2009年:ホンダ(燃料電池車なども導入)
- 2011年〜現在:トヨタ自動車が全車両を提供・継続中
こうした歴史的な経緯を知ると、トヨタが今の立場にたどり着いた背景がよくわかります。複数のメーカーがバトンを繋いできた大会を、トヨタは「引き受けた」のではなく「育ててきた」と言ってもいいかもしれません。次は、実際に大会当日にどんな車がどんな役割を担っているのかを見ていきます。
大会を支える運営車両としてのセンチュリー――それぞれの車の役割とは
箱根駅伝の中継を見ていると、選手の周囲にはさまざまな車が並走しているのが確認できます。実は、これらは「競技運営関係車両」と総称され、審判長車・審判車・本部車・監察車・記録車など、役割ごとに細かく分類されています。テレビに映る華やかなシーンの裏では、多くの車両が緊密な連携を取りながら大会の安全を守っているのです。
その中でも特にひときわ目を引くのが、大会本部車として使用されるトヨタ センチュリーです。2024年の第100回大会では新たにSUVタイプのセンチュリーが登場し、その重厚な佇まいが沿道やテレビ越しに大きな注目を集めました。さらに豊田章男会長の特注車「センチュリーGRMN」も、選手を後方から見守る役割を担って箱根路を走りました。
一方、各大学の監督が選手に激励や戦術的な指示を送る「運営管理車」には、ノアやヴォクシーといったミニバンが使われます。この車両は各大学のスクールカラーでラッピングされ、ナンバープレートの地名まで大学の所在地に合わせるという細やかなこだわりがあります。「〇〇大学の車だ!」と沿道から声援が飛ぶのは、こうした工夫があってこそです。
そのほかの役割分担も具体的です。大会会長車にはクラウンセダン(FCEVモデル)、技術総務車にはクラウンクロスオーバー(2.5L-HEVモデル)、広報車にはアルファードやヴェルファイア、医務車にはハイエースが運用されます。報道関係車両として15代目クラウン・カムリ・レクサスESといったハイヤーも連なることがあり、コース上には実にさまざまなトヨタ車が勢揃いする光景が生まれます。
これらすべての車両は、一般車両と区別するための特別な標識を掲げて走行することが法的に義務付けられています。審判員・監督・医療スタッフといった大会関係者が円滑に動けるのも、各車両がそれぞれの役割を正確に果たしているからです。選手が安心して競技に集中できる環境は、こうした車両と乗員の存在によって成り立っています。それでは、その中でも最大の注目を集めるセンチュリーGRMNについて、もう少し深掘りしてみましょう。
豊田章男会長の特注車「センチュリーGRMN」――世界に数台しかない幻のモデル
箱根駅伝の運営車両の中で、最もSNSを騒がせてきた存在が「センチュリーGRMN」です。これはTOYOTA GAZOO Racingが手がけるコンプリートカーの最高峰に与えられる「GRMN」の称号を冠しており、豊田章男会長のために特別に製作された、世界にわずか数台しか存在しないスペシャルモデルです。
センチュリーGRMNが初めて公の場に姿を現したのは2018年のこと。「幻のクルマ」と噂されていたこの車が、2019年の箱根駅伝では白いボディで選手と並走する姿が目撃され、SNS上では驚きと興奮の声で溢れかえりました。同年の東京オートサロンではブラックボディのセンチュリーGRMNもサプライズで披露され、白と黒の2台の存在が広く知れ渡ることになります。さらに2023年には、SUVタイプのセンチュリーにもGRMNモデルが登場したと報じられています。
前後スポイラー・サイドスカートなどの専用エアロパーツ、タイヤのサイズアップ、そして走行性能を高めるためのカスタムが随所に施されています。高級サルーンでありながら、スポーティな走りも追求したスペシャルモデルです。
とりわけクルマ好きの心をつかんでいるのが、白いセンチュリーGRMNのナンバープレートです。そこに記された「1867」という数字、これはトヨタの創業者である豊田佐吉が生まれた年を表しています。単なる数字ではなく、トヨタという企業の原点への敬意が込められた、ロマンあふれる数字なのです。この細部へのこだわりが、センチュリーGRMNを「トヨタの歴史と技術力を象徴する一台」と表現させる所以でもあります。
クルマ好きの間では市販化を熱望する声が絶えませんが、トヨタは現時点では販売する予定はないと表明しています。だからこそ、箱根駅伝というテレビの前に何千万人もの視聴者が集まる舞台で、その存在感が余計に際立つのかもしれません。市販される可能性のない「一点もの」が国民的なスポーツイベントを走る――そのギャップこそが、センチュリーGRMNを永遠の憧れにしている理由です。
新型センチュリーSUVが話題を呼ぶ理由――第100回大会でのデビューとその存在感
2023年9月に世界初公開されたSUVタイプの新型センチュリー。その発表からほどなくして、2024年1月の第100回箱根駅伝で大会本部車として堂々とデビューを飾りました。「100回」という節目の大会に、「100年」を意味するセンチュリーのニューモデルが登場した――この偶然とも必然とも取れる一致に「運命を感じる」と語る関係者の声も聞かれたほどです。
新型センチュリーSUVが話題を呼んだ理由のひとつは、その「圧倒的な存在感」にあります。SUV化によってボディがさらに大きくなり、ランナーの横に並ぶと「圧がすごい」「イカツイ!」という声がSNS上で多数寄せられました。従来のセダンタイプと並んで販売される新たなフラッグシップとして、センチュリーの格式を保ちながら現代のニーズに応えた進化形という点が、多くの人の関心を引いたのです。
トヨタがSUVという形を選んだのには、明確な意図があります。「センチュリーがこれからもお客様に『もてなし』をお届けするにはどうすればいいか」という問いに対し、車内での休憩やオンライン会議など「移動の時間」をより有効に活用できるパッケージングが必要だとトヨタは考えました。多様化するVIPのライフスタイルに寄り添うために、SUVという選択が生まれたのです。
第100回大会に登場した車両の仕様も特別でした。「白鶴(はっかく)」と呼ばれるプレシャスホワイトパールとシルバーの2トーンカラーに、フロマージュの内装色、そして225/45R22のタイヤとアルミホイールを装着したスペシャルモデルです。新型センチュリーSUVは豊田章男会長がスーパー耐久やジャパンモビリティショーでも使用しており、登場するたびにSNSで話題になっています。箱根路を走る新型センチュリーSUVの姿は、「日本の最高級車はここまで進化した」という宣言そのものと言えるでしょう。
提供車両の選定基準と多様な車種ラインナップ――なぜ毎年話題の新車が登場するのか
「なぜ毎年違う車種が箱根路に現れるのだろう?」と思ったことがある方もいるかもしれません。トヨタ広報によると、車両提供の選定に明確な基準は特に定めておらず、「前年に発表・発売された新車を中心に提供している」という方針だそうです。以前はプリウスが発売前に箱根路を走ったこともあります。つまり、箱根駅伝はトヨタにとって最新技術や新モデルを社会に披露する格好の舞台でもあるのです。
これまでの大会ではさまざまなサプライズ車両が登場してきました。燃料電池車のグランエースFCV、豊田章男会長の特注車センチュリーGRMN、新型センチュリーSUV、電気自動車のbZ4X、プリウス、ミニバンのアルファード・ヴェルファイア・ノア・ヴォクシーなどが挙げられます。2025年の大会では、レクサスLBX MORIZO RRもサポート車両として登場する予定だと報じられていました。
役割に応じた車種の使い分けも細かく設定されています。各大学の監督が選手に指示を送る「運営管理車」には主にノアやヴォクシーが使われ、各大学のスクールカラーでラッピングされたうえ、ナンバープレートの地名も大学の所在地に合わせるというこだわりが施されます。大会会長車にはクラウンセダン(FCEVモデル)、技術総務車にはクラウンクロスオーバー(2.5L-HEVモデル)、広報車にはアルファードやヴェルファイア、医務車にはハイエースが割り当てられます。報道車として15代目クラウン・カムリ・レクサスESといったハイヤーが加わることもあります。
これだけ多彩な車種が揃うのは、トヨタが持つ幅広い製品ラインナップがあってこそです。セダンからSUV、ミニバン、燃料電池車、EVまで。箱根路はある意味、トヨタが誇るフルラインナップを一気に体感できる走る展示場でもあります。では次に、その中でも「なぜセンチュリーが走ることに意味があるのか」という核心に迫っていきましょう。
トヨタ センチュリーが箱根駅伝を走る意味

- 最高の「ショーファーカー」がもたらすVIPの快適性
- 設計者目線で見た静粛性と乗り心地へのこだわり
- 陰で支えるドライバーたちの存在
- 箱根駅伝に注がれるトヨタのサポート体制と企業姿勢
- 特別なセンチュリーと一般市場のギャップ
最高の「ショーファーカー」がもたらすVIPの快適性――なぜ後席にこだわるのか
トヨタ センチュリーは、単に高価な車ではありません。オーナー自身が運転するのではなく、専属の運転手(ショーファー)が運転することを大前提に設計された「ショーファーカー」として、日本の最高峰に位置づけられる存在です。皇室の公務にも用いられるこの車は、後部座席に乗るVIPの快適性をとことん優先した設計思想を持っています。
後部座席のシートには、上質な手触りのウールファブリック「瑞響(みずなり)」か、柔らかな本革「極美革(きわみかわ)」の2種類から選べます。この素材と独自の構造により、長時間座っていても疲れにくい、まるで高級ソファのような極上の座り心地を実現しています。さらに、背中や腰を刺激するマッサージ機能「リフレッシュシート」、シートヒーター、ベンチレーションと、長距離移動を快適に過ごすための装備が充実しています。
2025年モデルのセンチュリーでは、アダプティブエアサスペンションと4WS(後輪操舵)が新たに搭載されました。路面状況に応じて車高を自動調整し、凹凸の衝撃を最小限に抑えることで、「宙に浮いているかのような」滑らかな乗り心地を提供するとされています。荒れた路面でも車内の振動がほとんど感じられないという評価は、設計者として非常に興味深いポイントです。
後部座席の充実度はさらに続きます。ビジネスジェットのようにフルリクライニングする機能付きシートとオットマン、独立した空調管理システム、高解像度の大型リアモニター。エグゼクティブラウンジパッケージを選べば折り畳み式ワークデスクやミニ冷蔵庫まで備わり、まるでプライベートジェットの機内のような空間が生まれます。
運転席側の設計も面白いポイントがあります。ショーファーカーだからこそ、運転手にとっての利便性が随所に配慮されています。そして助手席は、秘書や通訳がリアシートの乗員と自然に顔を合わせられるよう、肩周りのホールド感をあえて弱め、余裕を持たせた設計になっているのです。こうした「乗員の全員を最優先する」設計思想こそが、センチュリーが「最高のショーファーカー」と称される理由です。
設計者目線で見た静粛性と乗り心地へのこだわり――日本の職人技が生み出す走る静寂
私はトヨタの内装設計部門にいた時期があり、防音・静粛性に関わる開発の一端を知っています。だからこそ、センチュリーの静粛性を語るときに強く感じるのは、「ここまでやるか」という開発陣の執念のようなものです。
センチュリーは世界最高峰の静粛性を誇る車のひとつとされ、ロールスロイスやベントレーといった超高級車に匹敵すると評されています。2025年モデルではその静粛性と乗り心地がさらに進化し、日本の技術と職人技の粋が結集されています。
静粛性を実現するための技術は多岐にわたります。まずパワートレインは3.5L V6プラグインハイブリッドエンジン。特に低速走行時は完全に電気モーターのみで動くため、市街地ではエンジン音がほぼゼロになります。エンジンと電動モーターの切り替えも極めてスムーズで、従来のV8エンジンモデルと比べて振動や機械音が大幅に低減されています。
防音技術にも妥協がありません。トリプルレイヤーのアコースティックガラスが高速走行時の風切り音やロードノイズを効果的に遮断し、防火壁・ドア・車体底部には高密度の吸音フォームが配置されています。ホイールアーチライナーによるタイヤノイズの抑制、ドアフレームのシーリングと厚いウェザーストリップによる車外音の侵入防止も徹底されています。内装設計者の視点で言えば、これらの素材を「積み重ねる」だけでなく、「どこから音が入ってくるか」を徹底的に分析して塞いでいくプロセスが非常に重要で、センチュリーはそれを高い次元で実現しています。
さらに、アクティブノイズキャンセリング(ANC)システムも搭載されています。車内のマイクが不要な騒音を検出し、逆位相の音波を発生させてその音を打ち消す仕組みです。低周波のエンジン音、高速走行時の風切り音、路面でのタイヤノイズなどを効果的に低減し、後部座席ではささやき声すら聞こえるほどの静けさが生まれます。
内装には日本の伝統工芸の技術が随所に宿っています。手縫いの本革シート、天然木のウッドパネル、スエード仕上げの天井やドアパネルなど、細部にわたる職人技が光ります。大量生産の車とは異なり、一台ずつ職人による厳格な検査を経て完成するため、その品質はまさに芸術作品と表現しても大げさではありません。これらが組み合わさって初めて、センチュリーは「日本最高峰のラグジュアリーカー」の名に恥じない存在となっているのです。
陰で支えるドライバーたちの存在――プロが走らせるから安全が生まれる
箱根駅伝を語るとき、どうしても選手たちの激走に目が向きがちです。でも、その傍らを走る運営車両を操るドライバーの存在なくして、大会の安全は守られません。実は、運営車両のドライバーを務めるのはトヨタドライビングスクールの講師たちです。彼らは大会前に専用のレクチャーを受け、万全の態勢で本番に臨んでいます。
選手が必死に走るすぐ隣で、各大学の監督が選手に向けて激励の声をかけたり、戦術的な指示を出したりするシーンは箱根駅伝の名物のひとつです。あれを可能にしているのは、運営管理車のドライバーが選手との適切な距離を保ちながら、スムーズかつ安全に走行し続けているからに他なりません。100%の集中力が求められる高度な運転技術です。
選手を先導し走路の安全を確保する警察の白バイ隊員も、この日のために事前に特別な訓練を重ねています。大会会長車・大会本部車・技術総務車・広報車・緊急対応車・医務車と、多くの役割を持つ車両が隊列を組んで走行する中で、ドライバーたちは交通規制の遵守、ランナーとの距離管理、突発的な状況への対応を同時にこなしていくのです。
コース上に存在する鉄道の踏切では、選手が通過する際に電車を一時停止させる特別な措置が取られるなど、ランナーの安全を最優先するための配慮が随所に施されています。テレビには映らないこうしたドライバーたちの存在こそが、大会を成立させる「縁の下の力持ち」であり、彼らのプロ意識と献身は箱根駅伝に欠かせない要素です。選手と同じくらい、ドライバーたちも本番に向けて準備を重ねているということを、ぜひ知っておいてほしいと思います。
箱根駅伝に注がれるトヨタのサポート体制と企業姿勢――車両提供を超えた関わり方
トヨタが箱根駅伝に提供するサポートは、車両を貸し出すだけにとどまりません。駅伝コース沿いにあるトヨタの販売店では観戦グッズの配布が行われ、芦ノ湖畔のブースでは募金形式で軽食が振る舞われるなど、地域と一体となった支援が展開されています。2003年から始まり14年以上にわたって続いてきたこの全面サポートは、箱根駅伝という国民的行事の安定開催を支える重要な基盤となっています。
現代のスポーツ界では、リーマンショック以降、多くの企業が費用対効果を理由にスポーツ支援を手控える傾向があります。しかしトヨタはその流れに逆行し、欧米の企業と同水準でスポーツ文化への貢献を続けています。TOYOTA GAZOO Racing(GR)ブランドを通じた個人アスリートへのバックアップや、現役引退後のセカンドキャリア支援も積極的に展開しており、こうしたスポーツへの深い関わりは豊田章男会長の強い意志によるところが大きいと見られています。
箱根駅伝は毎年何千万人もの人々が視聴する正月の風物詩であり、トヨタが大会を支えることで得られる認知度・ブランドへの好感度は計り知れません。とはいえ、「縁の下の力持ち」として日本のスポーツ文化を支え、国民的行事の成功に貢献する姿勢を継続することが、トヨタブランドへの深い信頼を築いているのだと私は思います。単なるマーケティング活動を超えた、社会と共にある企業のあり方を体現しているのです。
特別なセンチュリーと一般市場のギャップ――「憧れ」が生み出すブランドの力
箱根駅伝のコースを走るトヨタ センチュリーは、その存在感と希少性から多くの視聴者やクルマ好きの注目を集めます。特に豊田章男会長の特注車「センチュリーGRMN」は世界にわずか数台しか存在しない超希少なモデルであり、市販化の予定はないとされています。そして2024年の第100回大会で初登場した新型センチュリーSUVも「圧倒的な存在感」で大きな話題を呼びました。
しかし、このような「特別な」センチュリーと一般市場の間には、大きなギャップがあります。通常のセダンタイプのトヨタ センチュリーの新車価格は2008万円(税込)からであり、一般の消費者が気軽に手を伸ばせる金額ではありません。もともとセンチュリーは、皇室・政府要人・企業役員といったVIPが、専任の運転手と使うことを前提に設計されたショーファーカーです。一般的な自家用車とはコンセプトも用途もまったく異なります。
記事内の価格情報は執筆時点のものです。最新の価格・仕様は必ずトヨタ公式サイトや販売店でご確認ください。
SNS上では「買えないけど、やっぱりかっこいい」「いつか乗ってみたい」という声が毎年飛び交います。このような「手が届かない特別感」こそが、大会におけるセンチュリーの存在をさらに際立たせているのだとも言えます。人は簡単に手が届かないものに、より強く憧れる。センチュリーはその感情を巧みに体現した存在であり、トヨタブランドの「憧れ」としての価値を最大限に高めているのです。
センチュリーが箱根という国民的な舞台を走る姿は、単なる「高い車が走っている」という光景ではありません。日本の技術力・職人技・品格を体現した存在として、テレビを通じて何千万人もの心に刻まれる――それがセンチュリーを文化的なアイコンたらしめる理由です。高級車が単なる移動手段を超え、「日本の格」の象徴として機能している、という意味でも非常に興味深い存在だと思います。
センチュリーの誕生にまつわる深い歴史と、皇室との関わりについてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事「皇室の顔!トヨタ センチュリー ロイヤル徹底解説」もあわせてご覧ください。
まとめ:正月の風物詩「箱根駅伝」を支えるトヨタ センチュリー
ここまで読んでいただいて、箱根駅伝でセンチュリーが走る意味の深さが少しでも伝わっていたら嬉しいです。最後に、この記事で押さえておきたい重要ポイントをまとめます。
- 箱根駅伝は毎年1月2日〜3日に開催される日本の正月の風物詩
- トヨタは2003年から一部車両提供を開始し、2011年からは全運営車両を提供・継続中
- 運営車両のドライバーはトヨタドライビングスクールの講師が担当し、大会前に安全研修を受ける
- 車両の選定は「前年発表・発売の新車を中心に」という方針で、明確な基準は設けていない
- 大会本部車にはセンチュリー、各大学監督の運営管理車にはノア・ヴォクシー、医務車にはハイエースと役割で車種を使い分けている
- センチュリーGRMNは豊田章男会長の特注車で世界に数台のみ、ナンバー「1867」は創業者豊田佐吉の生年を表す
- 2024年第100回大会では「白鶴」と呼ばれる新型センチュリーSUVが大会本部車として初登場した
- センチュリーは3.5L V6プラグインハイブリッドエンジン搭載で、ANCや多重防音技術で世界最高峰の静粛性を実現
- 後部座席はフルリクライニング・マッサージ・独立空調など、VIPのために徹底的に設計されたショーファーカー
- トヨタは車両提供だけでなく、コース沿いの販売店での観戦グッズ配布や芦ノ湖畔での軽食提供など多角的に支援
- センチュリーセダンの新車価格は2008万円(税込)から(最新情報はトヨタ公式サイトで確認)
よくある質問(FAQ)

箱根駅伝を見るたびに、センチュリーが走る意味を思い出してもらえたら嬉しいです。選手の走りはもちろん、その隣を静かに支える車にも注目してみてください――きっと観戦がもっと楽しくなりますよ。


