スープラ Z4：共同開発の真実と両車の魅力徹底比較 - トヨリスト：トヨタ車の選び方とおすすめ比較

2019年にトヨタから「GRスープラ」が、そしてBMWから「Z4」が相次いで登場した際、自動車ファンに大きな話題を提供した。この2台は異なるメーカーから販売されるにもかかわらず、その中身は共通のプラットフォームを持つ「兄弟車」であり、驚きをもって迎えられた。なぜトヨタとBMWという異なるキャラクターのメーカーが手を組み、似て非なるスポーツカーを生み出したのか。両車の関係性、それぞれの個性、そして市場における立ち位置について深く掘り下げる。

この記事を読むことで「スープラ z4」と検索した読者が具体的に何について理解を深められる。

この記事のポイント

トヨタとBMWの共同開発が実現した背景を理解できる
スープラとZ4の外観や内装、走行性能における具体的な違いを把握できる
新車・中古車市場での両車の価格動向とそれぞれの特徴を比較できる
自身の車選びにおいて、スープラとZ4どちらが適しているかの判断材料を得られる

スープラ z4 の特徴と関係性
スープラ z4 の市場価値と選択肢

スープラ z4 の特徴と関係性

インデックス

共同開発に至った背景
外観デザインの主な違い
インテリア装備と操作性の比較
エンジン性能と走行感覚
ボディサイズとプラットフォーム

共同開発に至った背景

トヨタとBMWの共同開発は、2011年にリチウムイオン電池の共同研究から技術提携が始まったことに端を発する。翌2012年6月には、電動化や軽量化、そしてスポーツカー開発へと協力関係が広げられることが発表された。このスポーツカーの協業から、現行型「GRスープラ」が誕生している。

トヨタの多田哲哉チーフエンジニアは、2012年5月にトヨタ本社からBMW本社での共同開発の可能性を探るよう指示を受けたと語る。その当時、量産可能な高性能直列6気筒エンジンを持つ自動車メーカーはBMWしか存在せず、これが歴代スープラのアイデンティティである直列6気筒FR方式の車両パッケージを実現するための大きな要因となった。当初は車種さえも定まっていない状態であったが、トヨタ側はポルシェに匹敵するピュアスポーツカーを生み出すというテーマを掲げ、プロジェクトがスタートした。

両社は既存のプラットフォームの流用も検討したが、目標に到達できないと判断し、ホイールベースやトレッド、重心高といった車両の諸元をゼロから見直し、共同で新たなプラットフォームを開発した。このプロセスにおいて、スープラの設計実務はBMWに委託された。開発の初期段階でプラットフォームの共有が決定された後は、両車は別々のチームによって開発が進められ、互いの開発情報が特に共有されることはなかったため、最終的には異なる個性を有する車に仕上がったのである。

外観デザインの主な違い

スープラとZ4は共通のプラットフォームを持つ兄弟車ではあるものの、その外観デザインは明確な個性を持ち、見た目の印象は大きく異なる。まず、最も顕著な違いはボディタイプであり、Z4が電動開閉式のソフトトップを備えた2シーターオープンカーであるのに対し、スープラはルーフが開かないクーペタイプを採用している。Z4のソフトトップは50km/h以下であれば走行中でも約10秒で開閉可能だ。

両車の外観で共通する部分はドアミラーやドアアウターハンドル程度に留まり、バンパーやヘッドライトの形状など、目を引く主要なパーツはそれぞれのブランドイメージを象徴するデザインが採用されている。例えば、Z4のヘッドライトはBMW伝統の「ダブル・ラウンド」ライトを上下に配置することで、よりエキゾチックでスポーツカーらしい印象を追求している。また、スープラはフロントリップが地面と平行に設計されている一方、Z4は角度をつけており、最低地上高もスープラが112mm、Z4が114mmと若干の差がある。

ボディサイズについても大きな差はなく、スープラが全長4,380mm×全幅1,865mm×全高1,295mm、Z4が全長4,335mm×全幅1,865mm×全高1,305mmと、ほぼ同等のディメンションとなっている。しかし、それぞれのデザインアプローチにより、スープラは「GRスープラ」という名称が示す通り、トヨタのスポーツモデル専用ブランド「GR」を冠した初のグローバルモデルとしての存在感を放ち、Z4は凝縮された塊感のあるフォルムが特徴である。

インテリア装備と操作性の比較

スープラとZ4のインテリアデザインには共通点が多く、インストルメントパネルの形状もよく似ている。両車ともに水平基調のインパネデザインを採用しており、これにより運転中の前方視界が良好で、車両姿勢オペレーティングシステム7.0が搭載されており、先進的な印象を強く与える。また、イグニッションスイッチがセンターコンソールに配置され、電動パーキングブレーキとブレーキホールド機能が完備されている点も特徴だ。一方、スープラはブレーキホールド機能を持たない。ステアリングホイールの質感にも違いがあり、Z4のMスポーツステアリングは握り心地が良く、ピアノブラックの加飾も施されている。さらに、Z4ではスマートフォンを置くだけで充電できる非接触給電（Qi）機能付きの収納スペースがカバーで覆われているのに対し、スープラではドリンクホルダーが露出しているタイプである。

これらの違いから、Z4のインテリアは質感や機能性において「2ランクくらい上の質感」と評価されることもあり、BMWの内装がクラスをリードするレベルに達したことを示唆している。これは、トヨタがZ4の新しい内装システムを利用させてもらえなかったのではないかと推測させるほどの差である。

エンジン性能と走行感覚

スープラとZ4は、共同開発によってエンジンやプラットフォームといった基本構造を共有している。両車ともに、最高出力197ps（SZ）および258ps（SZ-R）を発生する2L直列4気筒ターボエンジンと、最高出力340ps（RZ）を発生する3L直列6気筒ターボエンジンの2種類のパワートレインが用意されている。現在、3L直列6気筒ターボエンジンの最高出力は387psに向上している。

ミッションはZ4が全グレードで8速ATを採用しているのに対し、スープラには8速ATの他に6速MTの設定も用意されている。駆動方式は両車ともにFR（後輪駆動）のみである。

走行感覚においては、両車は異なるチューニング思想に基づいている。トヨタはスープラの「走りのチューニング」において決定権を持ち、サスペンションやエンジン、トランスミッションのセッティング、アクティブデフのセッティング、ボディ剛性の前後配分などを独自に決定している。これにより、スープラは「ピュアスポーツ」としての性格が強調され、誰にとっても走りやすいという印象を与える。

一方、Z4は「オープンスポーツ」としてのキャラクターが強く、より「ラグジュアリー性や大人な走り」を楽しむ層に向けられている。試乗したユーザーからは、スープラSZ-Rのパワーがワインディングロードで十分に気持ちよく走れると感じられるのに対し、Z4 M40iではパワーがありすぎて「滑らかさを感じるだけになってしまう」という意見もある。このように、兄弟車でありながらも、クーペとオープンカーというボディ形式の違いに加え、各ブランドが追求する走りの「味付け」によって、両車は全く異なる走行体験を提供する。

ボディサイズとプラットフォーム

スープラとZ4は、その誕生の経緯から共通のプラットフォームを使用している。この共有プラットフォームは、両車のホイールベースが2,470mmであることからも確認できる。

このプラットフォームは、トヨタとBMWが既存のものを流用するのではなく、両社の目標に到達するために新たに開発されたものである。多田哲哉チーフエンジニアは、ホイールベースをトレッド（前後平均値）で割った値が1.55となる「スポーツカーの黄金比」を目指した結果、2,470mmというショートホイールベースが導き出されたと説明している。このディメンションの検証のため、BMWの「M2クーペ」のボディを改造した先行試作車、通称「フルランナー」が製作され、高速域の安定性などが確認された。

ボディサイズに関しては、スープラが全長4,380mm×全幅1,865mm×全高1,295mm、Z4が全長4,335mm×全幅1,865mm×全高1,305mm と、全長と全高にわずかな違いはあるものの、全幅は共通しており、全体として大きな差はない。しかし、スープラはクローズドボディを採用することでボディ剛性に優れ、ハイスピードでのコーナリング時にも車体の歪みを抑え、姿勢変化を最小限に抑えた走行が可能である。

また、両車の生産はBMWグループと生産委託契約を結んでいるオーストリアのマグナ・シュタイア社が受託しており、スープラの乾燥重量は1,410kgから1,530kgと、先代モデルとほぼ同等の数値を実現している。荷室容量については、スープラが290L、Z4が281Lと、スープラがわずかに広いスペースを確保している。スープラの荷室は乗車スペースと仕切られており、工夫された形状によりゴルフバッグなどの大きな荷物も積載できる点が魅力である。

スープラ z4 の市場価値と選択肢

インデックス

新車価格における両車の差
中古車市場での相場変動
中古Z4が割安な理由
維持費と実際の信頼性
スープラ人気の要因
スープラ z4 どちらがあなたに合うか

新車価格における両車の差

スープラとZ4は兄弟車でありながら、新車価格には明確な価格差が設定されている。発表当初の価格で比較すると、スープラが499万5000円から731万3000円の範囲であったのに対し、Z4は580万円から850万円と、対応するグレード間で比較するとZ4の方が約100万円から120万円ほど高価であった。

以下に、発表当初の主要グレードの新車価格を示す。

車種	グレード	価格（円）	エンジンタイプ
スープラ	SZ	4,995,000	2L 直列4気筒ターボ (197ps)
スープラ	SZ-R	6,013,000	2L 直列4気筒ターボ (258ps)
スープラ	RZ	7,313,000	3L 直列6気筒ターボ (340ps)
Z4	sDrive20i M Sport	6,650,000（試乗車価格）	2L 直列4気筒ターボ (197ps)
Z4	M40i	8,500,000	3L 直列6気筒ターボ (340ps)

新車価格だけを見ると、Z4はスープラよりも高価な設定であり、これは両車の棲み分けが図られていることを示唆している。価格差は約70万円以上となる場合もある。購入費用を抑えつつも共同開発による基本性能を享受したいのであればスープラが選択肢となり、輸入車ブランドとしての魅力やより洗練された内装、オープンカーであることに価値を見出すのであればZ4が選ばれる傾向にある。

中古車市場での相場変動

登場から1年が経過した時点でのスープラとZ4の中古車市場の動向は、両車の人気と供給状況を如実に反映していた。2020年7月時点の調査によると、現行型スープラの中古車流通台数は約108台と、3ヶ月前の約75台から増加傾向にあった。

特筆すべきは、スープラの中古車平均走行距離が1,000km以下に留まる車両が多く、まるで未使用車のような状態のものが多数流通していた点である。さらに、最も注目すべきは、スープラの中古車相場が新車価格を上回る逆転現象が起きていたことである。2020年7月時点での平均価格は約666万円であり、これは3ヶ月前の約693万円から27万円の値下がりを記録したものの、それでも新車価格（SZ 499.5万円、SZ-R 601.3万円、RZ 731.3万円）を考慮すると、SZとSZ-Rにおいては新車価格を大きく超える価格で取引されていたことになる。

一方、Z4の中古車市場に関する具体的な価格データはソース中で限定的であるが、新車価格で約100万円から120万円スープラより高価に設定されているZ4が、中古市場ではスープラに比べて「断然お得」であると評されている。これは、スープラが初回生産枠の即完売や納期未定といった状況に見舞われた一方で、Z4は納期が1〜2ヶ月程度で、ショールームに並べば即納車可能な状態であったことと関連する。市場の需要と供給のバランスが、中古車価格の動向に大きな影響を与えていることがわかる。

中古Z4が割安な理由

中古車市場においてBMW Z4がトヨタスープラよりも割安感があるとされる理由は、いくつかの要因が複合的に絡み合っている。まず、新車価格の時点でZ4がスープラよりも約100万円から120万円高い価格設定であったため、中古車になった際に価格が下落することで、より「お得感」が生まれると考えられる。Redditのユーザー分析によると、中古のZ4はスープラよりも約7,000ユーロ（約100万円以上）安い価格で取引されているというデータも存在する。

次に、両車のキャラクターと市場での需要の違いが挙げられる。スープラは「ピュアスポーツ」としての性格が強く、走りの性能やチューニングを重視する層に支持されている。また、トヨタという国産ブランドの「信頼性」に対する強い認識も、スープラの需要を高める要因となっている。特に、マニュアルトランスミッション車は需要に対して供給が追いついていない状況にある。

一方、Z4は2シーターオープンカーであり、「オープンスポーツ」や「ラグジュアリー性」を求める「大人な走り」を楽しむ層をターゲットとしている。オープンカーという特性上、市場の嗜好がクーペに比べて限定される可能性もある。発売当初の状況では、スープラが初回生産枠が即完売し納期未定となるほどの人気を博したのに対し、Z4は納期が比較的短く、即納車が可能な状況であった。このような新車販売時の需要の差が、中古車市場での価格形成にも影響を与え、Z4が比較的割安に流通する要因となっていると分析できる。

維持費と実際の信頼性

スープラとZ4は、主要なコンポーネントを共有している「兄弟車」ではあるものの、その維持費と信頼性に関しては、ユーザー間で様々な意見が交わされている。特に、トヨタブランドの車両に対する「壊れない」という信頼性の認識は非常に強く、ある自動車情報番組ではスープラが「これは壊れないBMWです」と表現された逸話も紹介されている。これは、トヨタ車が一般的に持つ安心感を強調するブリティッシュジョークとして解釈できるだろう。

しかし、スープラとZ4はBMWとの共同開発によって誕生し、その製造はBMWグループと生産委託契約を結ぶオーストリアのマグナ・シュタイア社で行われている。エンジンをはじめとする主要なパワートレイン部品はBMW由来であるため、一般的な「国産車」と「輸入車」という単純な維持費の比較は難しい側面がある。

BMW車のメンテナンス費用については、正規ディーラーが修理事業でかなりの収益を上げているという声もある。一方で、ユーザーのレビューでは、スープラのインテリアの一部に「一昔前のBMWのもの」が流用されており、ステアリングスイッチ類の質感に不満を感じるという意見も存在する。これは、Z4が最新世代のBMW内装システム（G型）を採用し、電動パーキングブレーキやブレーキホールドなどの先進機能を備えているのに対し、スープラがBMWの旧世代（F型）の部品を一部流用しているという内装の差と関連している。

結局のところ、部品の調達経路やメンテナンスを行う場所（トヨタ正規ディーラーかBMW正規ディーラーか、あるいは専門ショップか）によって費用は変動する可能性があり、一概にどちらが「断然安い」とは言い切れない側面がある。しかし、ブランドイメージとしての「トヨタの安心感」は依然としてユーザーの車選びに大きな影響を与えていると考えられる。

スープラ人気の要因

スープラが市場で高い人気を博している要因は複数存在する。最も大きな理由は、約17年ぶりに復活した伝統あるスポーツカーという「レガシー」にある。歴代スープラのアイデンティティである直列6気筒エンジンとFR（後輪駆動）方式のパッケージを現行モデルも継承していることは、長年のファンにとって大きな魅力である。

また、トヨタブランドに対する「信頼性」の認識が非常に強いことも、スープラの人気を支える重要な要素だ。共同開発であるにもかかわらず、「これは壊れないBMWです」という評価が生まれるほど、トヨタが築き上げてきた品質への信頼は厚い。中古車市場では、新車価格を上回る価格で取引される現象が見られ、流通している中古車の平均走行距離が1,000km以下と短いことからも、その希少性と高い需要が伺える。

さらに、スープラの「スタイル」と「アフターマーケットサポート」の豊富さも、愛好家にとって魅力的である。購入者がハードトップであるクーペボディを好む傾向も、オープンカーであるZ4との差別化要因となっている。発表当初、スープラの初回生産枠は即完売し、問い合わせが殺到して納期が未定となるほどの状況であった。これは、オンライン上でZ4を好む意見が多数見られたにもかかわらず、実際の購買層はスープラを求める人が圧倒的多数であった現実を示している。これらの要因が相まって、スープラはスポーツカー市場で確固たる人気を確立している。

スープラ z4 どちらがあなたに合うか

スープラとZ4は、同じプラットフォームとエンジンを共有しながらも、それぞれ異なるコンセプトとキャラクターを持つため、どちらを選ぶかは個人の価値観や用途によって大きく変わる。

もしあなたが「ピュアスポーツ」としての走りを追求し、ワインディングロードでの俊敏なハンドリングやサーキット走行を視野に入れているのであれば、トヨタが走りのチューニングにこだわり抜いたスープラが適しているだろう。スープラはハードトップクーペであり、ボディ剛性に優れるため、ハイスピードコーナリングなどでの安定感がある。また、トヨタブランドの持つ「信頼性」や、中古車市場での高いリセールバリューを重視する人にも、スープラは魅力的な選択肢となる。

一方、もしあなたが「オープンスポーツ」としての爽快感や、より上質な「ラグジュアリー性」と「大人な走り」を求めているのであれば、BMW Z4が適している。Z4は電動開閉式のソフトトップを備え、オープンエアでのドライブを楽しめることが最大の特長だ。内装の質感や先進装備においては、Z4がスープラよりも新しい世代のBMWのシステムを搭載しており、より洗練された空間を求めるユーザーにとってはZ4が有利である。中古車市場ではスープラよりもZ4の方が割安感があり、新車購入費用を抑えつつ輸入車ブランドの魅力を享受したい場合にもZ4は有力な候補となる。

最終的には、両車の試乗を通じて、自身の走行感覚や内装への好み、そして車に求めるキャラクターがどちらのモデルにより合致するかを判断することが重要である。