「トヨタユーゼックとはどんな会社?」と検索しているあなたへ。トヨタユーゼックは、トヨタグループ唯一の中古車事業を専門とする戦略会社であり、その事業内容は多岐にわたる。日本初のオートオークション開催から、ITを活用した新しい中古車販売の提案、そしてグローバルな輸出事業の展開まで、中古車流通の未来を担う存在として、常に変化に対応している。この記事では、トヨタユーゼックの設立と沿革、主要事業とサービス内容、オートオークションの規模や実績、さらには海外輸出事業やIT・DXによる事業推進、そして企業の特徴や今後の展望、社員の働く環境や評価まで、多角的に分析していく。
この記事を読むことで「トヨタユーゼックとはどんな会社?」と検索した読者が具体的に何について理解を深められる。
- トヨタユーゼックの創業から現在に至るまでの歴史と事業の広がり
- 同社が手掛けるオートオークション、中古車販売、海外輸出などの主要な事業内容
- トヨタグループの一員としての強みや、中古車市場における今後の展望
- 社員が働く環境や福利厚生、実際に働く人々からの会社の評価
トヨタユーゼックとはどんな会社?事業概要と歴史
- トヨタユーゼックの設立と沿革
- 主要事業とサービス内容
- オートオークションの規模と実績
- 海外輸出事業の展開
- ITとDXによる事業推進
トヨタユーゼックの設立と沿革
トヨタユーゼックは、1955年にトヨタ中古自動車販売株式会社として設立され、トヨタ自動車グループの中古車販売・流通を担う専門会社としてその歴史を開始した。翌1956年には、東京都品川区五反田に日本初の常設中古車展示場を開設し、中古車市場における先駆的な役割を担ってきた。この初期の活動は、中古車の大規模展示即売会「中古車トヨタ市」の開催にも繋がった。
その後、1967年には日本で初めてとなるオートオークション「TAA」を東京、大阪、名古屋で開始し、中古車流通の仕組みを大きく変革した。このオートオークション事業は、その後全国へと拡大していき、TAA中部会場(1983年)、TAA関東会場(1984年)、TAA近畿会場(1986年)などが常設された。特に、1996年には海外部を設立し、ニュージーランドへの輸出を開始するなど、事業のグローバル化も進めてきた。
そして、2000年には社名を現在の株式会社トヨタユーゼックに変更するとともに、本社を千葉県幕張新都心へ移転している。その後もオークション会場の増設やリニューアルを続け、現在では全国に19か所のオークション会場を展開するに至っている。これらの取り組みから、同社が中古車流通業界におけるパイオニアとして、常に新しい挑戦を続けてきた企業であると理解できる。
主要事業とサービス内容
トヨタユーゼックは、トヨタグループ唯一の中古車事業戦略会社として、多岐にわたる事業とサービスを提供している。その中核を成すのは、トヨタオートオークション(TAA)の運営である。年間約93万台の中古車を取り扱い、週1回全国の会場で開催されるオークションには、のべ3,000人の来場者と1万人の外部落札会員が参加し、約14,000台の出品車が応札されている。
小売事業も展開しており、静岡県、埼玉県、東京都でカーロッツ3店舗を含む4店舗を運営している。加えて、中古車販売の新しい形として、オンライン商談に特化したバーチャル店舗「トヨタユーゼックネットストア」を運営し、トヨタ中古車オンラインサイトでの掲載車受注と納車店舗開設も行っている。ここでは、車両状態を動画で紹介したり、LINEやZoomを活用したりすることで、来店不要のバーチャル体験を提供している。
さらに、同社は中古車の卸売、情報提供サービス、損害保険代理店業、海外輸出事業、そして中古車プロの育成や教育など、中古車に関わる幅広いサービスを提供し、中古車の健全な流通とトヨタグループの中古車戦略の発展に貢献している。これらの事業を通じて、同社は中古車の流通全体を俯瞰し、そのインフラを創造していくことを目指していると言える。
オートオークションの規模と実績
トヨタユーゼックが運営するトヨタオートオークション(TAA)は、日本の中古車流通市場において非常に大きな存在感を示している。同オークションの出品台数は業界第2位を誇り、その規模の大きさがうかがえる。年間では約93万台もの中古車を取り扱っており、毎週開催されるオークションには、のべ3,000人の来場者と1万人の外部落札会員が参加し、一度に約14,000台の出品車が応札されている。
地理的な展開も広く、全国に19か所のオークション会場を展開している。これまでの歴史の中で、TAAは東京、大阪、名古屋といった主要都市から始まり、東北、九州、横浜、南九州、広島、北海道、四国など、全国各地へとそのネットワークを広げてきた。
2024年度のオークション実績
一般社団法人 日本自動車会議所の情報によると、2024年度において、主要なオートオークション事業者4社が発表した実績では、平均成約単価がいずれも過去最高を更新したことが報告されている。トヨタユーゼックが運営するTAAもこの傾向にあり、23年度に比べて10%前後の伸びを記録している。この相場高騰の背景には、慢性的な中古車の品不足、事業者間の仕入れ競争の過熱、そして円安に振れた為替が輸出事業者の入札を活発化させたことなどが挙げられる。
しかし、3月単月では成約率がそろって下落し、成約単価にも沈静化の兆しが見られた。これは出品台数の回復が影響していると考えられ、今後の相場変動に波及する可能性も示唆されている。このように、TAAは日本の中古車流通における主要なインフラであり、その動向は市場全体に大きな影響を与えている。
海外輸出事業の展開
トヨタユーゼックは、国内の中古車流通に留まらず、海外市場への展開にも積極的に取り組んでいる。同社は1996年に海外部を設立し、同年にはニュージーランドへの輸出を開始した。これは、早い段階からグローバル市場への可能性を見出していたことの表れだと言える。
特に、アフリカ市場は日本の中古車に対する需要が旺盛であり、トヨタユーゼックはこの地域への輸出を本格化している。トヨタ自動車は、グループ企業の豊田通商と連携し、2年前に立ち上げた輸出の仕組みを活用して、アフリカ向け中古車の輸出規模を年間数千台規模に拡大する計画である。さらに、今後3年をかけてアフリカ全土に認定中古車店を展開する方針も掲げている。これは、年間約400万台規模とされるアフリカの中古車市場にトヨタグループとして本格的に参入し、事業を拡大しようとする明確な意思を示すものである。
前述の通り、同社は「中古車流通の未来に新たなチャレンジを」というビジョンのもと、今日まで培ってきた中古車流通や販売、サービスのノウハウを活かし、グローバル市場に目を向けた輸出事業の拡充を重要な戦略として位置付けている。このような取り組みは、自動車業界が100年に一度の大変革期を迎える中で、従来の枠組みにとらわれない新しい事業展開を求める同社の姿勢を強く反映している。
ITとDXによる事業推進
トヨタユーゼックは、中古車オークション事業の成長を支える基盤として、ITとDX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進している。かつて「手ゼリ」で行われていたオークションでは一度に約300台の中古車しか取り扱えなかったが、システム化により1台あたり15秒程度で競りを行うことが可能となり、現在では約3000台もの車両が短時間で取引されるまでに飛躍的に効率が向上した。
同社は「いつでも・どこでも・スピーディーに売買できるネットワークシステム」を開発し、お客様からの高い支持を得ている。このシステムは、高い検査精度と見やすく分かりやすい出品情報を提供し、リアルタイムでのセリ参加を可能にしている。
特に注目すべきは、中核となる自動車オークション業務システム「TOMAS(TAA On Demand MAnagement system)」の刷新である。このシステムは2005年から稼働し、セリ・勘定業務、車両管理、会員・画像管理、データ中継など、オークションに関わる全業務を担ってきた。事業の継続的な成長を見据え、トヨタユーゼックはTOMASをクラウドへ移行し刷新することを決定した。
オラクルExadata Cloudへのシステム移行
2023年1月、TOMASのデータベース環境は「Oracle Exadata Database Service」に集約された。このクラウド移行により、システム全体の安定性を維持しつつ、レスポンス性能は最大で9倍に向上した。例えば、これまで180分かかっていたジョブが20分に短縮されるなど、処理速度が大幅に改善された。
このプロジェクトは、東京リージョンに本番環境、大阪リージョンにDR(災害復旧)環境を構築し、約10カ月で移行と稼働開始を完了している。データベースの集約による運用負荷の軽減、CPUリソースのスケーリングによるコスト削減に加え、DR構成により事業継続計画(BCP)対策が強化されたことも大きなメリットである。トヨタユーゼックは、この刷新がオートオークション事業運営に性能、運用、コスト、BCP対策の面で多大なメリットをもたらしたと評価している。
トヨタユーゼックとはどんな会社?企業の特徴と今後の展望
- トヨタグループとしての強み
- 中古車市場の動向と課題
- 今後の事業展開とビジョン
- 社員が働く環境と福利厚生
- 社員による会社の評価と評判
- まとめ:トヨタユーゼックとはどんな会社?
トヨタグループとしての強み
トヨタユーゼックの最大の強みは、トヨタ自動車グループ唯一の中古車事業戦略会社であるという点に集約される。このグループの一員であることは、単なる企業規模だけでなく、事業運営のあらゆる側面に大きな影響を与えている。
まず、全国約300社のトヨタディーラーがTAA会員として良質なトヨタ車を出品するという、グループ全体の協力体制が存在する。これにより、オークションには常に質の高い中古車が安定して供給され、消費者に信頼性の高い車両を提供できる基盤が築かれている。社員からも「ブランド力やメーカーの強みを感じることは多く、お客様からの信頼も厚い」という声や、「親会社がトヨタなので余程の事がない限り潰れないと思う」といった安定性への言及が聞かれる。
また、トヨタ直営であるため、資本力が豊富であり、店舗拡大などの事業戦略を積極的に推進する原動力となっている。トヨタグループの豊富な中古車在庫も同社の強みであり、これを活かした新しい中古車の買い方提案も可能になると考えられている。このような強力なバックボーンは、中古車市場における同社の優位性や独自性を確固たるものにしていると言える。
中古車市場の動向と課題
現在、自動車業界は「100年に一度の大変革期」を迎えている。電動化、自動化、コネクティッドといった技術革新が急速に進む一方で、シェアリングエコノミーの台頭など、車の所有や利用の形も大きく変化しつつある。このような変化の波は、中古車業界にも押し寄せており、従来の枠組みにとらわれない新しい事業展開が強く求められている。
直近の中古車市場では、新車供給の遅延が一時的に中古車の存在感を高め、アフターコロナの状況下で新たな商流が生まれる現象も見られた。市場は慢性的な品不足に直面しており、これにより事業者間の仕入れ競争が過熱し、中古車相場が高騰する傾向が続いている。特に、円安の為替レートは輸出事業者の入札を活発化させ、さらなる相場上昇の一因ともなっている。
しかし、足元では成約単価に沈静化の兆しが見られ、3月には一部の主要AAで前年同月比マイナスを記録するなど、需給バランスに変化が生じ始めている。出品台数の回復がこの変化の大きな要因であり、今後の中古車価格の動向に影響を与える可能性がある。
トヨタユーゼックは、この変革期において、より複雑になる車の安心・安全な流通という社会的ニーズに応える必要性を認識している。中古車の価値を長く保ち、安全に使い続けてもらうための社会的意義ある事業として、これらの市場の動向や課題に対応し、中古車流通のインフラを創造していくことが同社の重要な役割だと言える。
今後の事業展開とビジョン
トヨタユーゼックは、自動車業界が迎える大変革期をチャンスと捉え、今後の事業展開とビジョンを明確に描いている。同社は、これまで培ってきた中古車流通、販売、サービスのノウハウを最大限に活かし、グローバル市場に目を向けた輸出事業のさらなる拡充を目指している。これは、特にアフリカ市場での日本の中古車需要の高まりに対応し、輸出規模の拡大や認定中古車店の展開を進める具体的な取り組みに表れている。
また、ITを積極的に活用し、新しい中古車の買い方提案を推進していく方針も示している。インターネットの普及を背景に、公正な評価システムやトヨタグループの豊富な中古車在庫を強みとし、オンラインでの顧客体験をさらに向上させることで、利便性の高い購買プロセスを提供していく考えである。
具体的には、オートオークションで培った車両のコンディションを正確に伝える検査技術、車の安全を守る保守技術、そして販売力や販売店サポート力を一層強化していくことが重要だと認識している。これらの技術やノウハウを総合的に組み合わせることで、中古車に関するあらゆるサービスを提供する会社を目指し、日々新たな挑戦を続けていく姿勢を示している。
同社の北口武志社長は「もっと、もっと」の姿勢で改善を続けていくと語っており、これは現状に満足せず、常に進化を求める企業文化を示唆している。新しい中古車EC事業の立ち上げなど、企画業務においても変革を推進する人材を求めていることから、今後も市場の変化に対応し、積極的に新しい事業領域を開拓していく姿勢がうかがえる。
社員が働く環境と福利厚生
トヨタユーゼックは、社員が安心して長く働けるよう、充実した働く環境と福利厚生制度を整備している。
勤務時間と休暇
勤務時間は原則として9:00~17:45(中古車販売店舗は9:30~18:15)であり、休憩を除く1日7時間45分勤務となっている。フレックス制度が導入されているため、社員は比較的柔軟な働き方が可能であり、一部の部署ではテレワークも取り入れている。年間休日は116日と定められており、加えてGW、夏季、年末年始に年3回の長期休暇が取得できる。有給休暇は年間最大20日取得可能で、消化率は78.5%と高い水準にある。
ライフサポート
社員の私生活をサポートする制度も手厚い。年間3万円分のポイントが付与される選択型福利厚生制度があり、個人旅行や自動車用品、保険、書籍購入など、豊富なメニューから自由に使い道を選べる。30歳未満の独身者で通勤に片道2時間以上かかる拠点に配属された場合は、会社が選定した物件に月額18,000円の自己負担で入居できる借上独身寮制度も用意されている。
また、結婚や育児、配偶者の転勤といったやむを得ない事情で退職した正社員が再活躍できるカムバック制度も導入している。この他、トヨタ自動車の株式を給与天引きで購入できる従業員持ち株会や、住宅・年金・一般の3種類から選べる財形貯蓄、積立と確定拠出を併用した退職金制度もある。
車に関するサポート
車好きには嬉しい特典も複数存在する。マイカー購入の際には、自社在庫やTAA出品車両を仕入原価に15,000円の自己負担を上乗せするだけで、メーカーを問わず購入できる社員自家用車購入制度がある。また、個人で所有する車の自動車保険を会社が取り扱う保険で契約した場合、大幅な団体割引が受けられる。
研修・キャリア支援
新入社員は入社後1ヶ月間の集合研修を受けた後、職種に応じた実地研修を経て配属されるため、社会人生活をスムーズにスタートできる。オークション検査員には約半年にわたる専門的な育成研修が用意されており、配属先では原則1年間、ブラザー&シスター制度(メンター制度)を通じて相談役の先輩社員がつくことで、不安や悩みを解決できる環境が整っている。
これらの制度に加え、産休・育休制度、短時間勤務、看護休暇、各種社会保険も完備されており、社員のワークライフバランスを重視し、長期的なキャリア形成を支援する体制が構築されていると言える。
社員による会社の評価と評判
トヨタユーゼックの社員による評価は、複数の側面から会社の実像を映し出している。OpenWorkのデータによると、同社の総合評価は3.3点であり(32人の正社員の回答)、特に会社の成長性や将来性、事業の優位性や独自性においては3.6点、3.7点と比較的高い評価を得ている。職場の人間関係の満足度も71%と良好な水準にある。
社員からは、トヨタグループの一員であることによる安定性やブランド力を強みとして挙げる声が多数聞かれる。中古車のオークション市場が成長市場であること、特に海外取引の増加に伴い高品質な中古車への需要が高まり、車両検査の重要性が増している点も、同社の事業の強みとして認識されている。また、業務内容が多様であり、新しいことに挑戦する意欲のある人材には活躍の場が用意されているとの意見もある。福利厚生の充実、特に社員自家用車購入制度や自動車保険の割引などは、車好きの社員にとって大きな魅力となっている。
一方で、課題点も指摘されている。風通しの良さの推進は進めているものの、まだ道半ばであるという声や、若手社員への仕事量の偏りが不満の原因となる可能性が示唆されている。研修内容については、自身の職務に合っているか疑問を感じるケースや、形式的なグループワークが多いと感じる社員もいるようだ。入社前は車両査定のみと考えていたが、実際には査定以外の業務や繁忙期の残業が多いといった入社後のギャップを感じる社員も存在する。
女性の働きやすさに関しては、「最近は女性が増えてきた」という意見があり、多様性への取り組みも進んでいることがうかがえるが、外国人社員はまだ少ないのが現状だ。これらの評価から、トヨタユーゼックは安定した基盤を持ちながらも、組織文化や働きがい、研修の質などの面で改善の余地がある企業だと考えられる。
まとめ:トヨタユーゼックとはどんな会社?
- トヨタユーゼックはトヨタ自動車グループの中古車事業専門会社である
- 1955年に設立され1967年に日本初のオートオークションTAAを開始した
- オートオークション運営は中核事業であり出品台数は業界第2位を誇る
- 全国に19か所のオークション会場を展開し年間約93万台の中古車を取り扱う
- 小売事業としてカーロッツ店舗やオンラインバーチャル店舗を運営している
- ITを活用した新しい中古車EC事業の立ち上げなどDXを推進している
- 基幹システムTOMASをクラウド移行し性能を最大9倍に向上させた実績を持つ
- 1996年より海外輸出事業を開始しアフリカ向け中古車輸出を本格化している
- グローバル市場への事業拡充は同社の重要な経営戦略の一つである
- 平均成約単価は過去最高を更新するなど中古車市場での存在感が大きい
- 充実した福利厚生制度があり社員のワークライフバランスを支援している
- 社員自家用車購入制度や自動車保険団体割引など車好きに嬉しい制度がある
- 安定性やブランド力は社員から同社の強みとして評価されている
- 中古車市場の変革期に対応し新たな流通の形を創造するビジョンを持つ
- 常に「もっともっと」の姿勢で改善を続ける企業文化がある