トヨタ アルファード 抱き合わせ 販売とは？法的問題と解決策

トヨタの人気車種であるアルファードやヴェルファイア、ランドクルーザーなどの購入を検討している消費者は、「トヨタ アルファード 抱き合わせ 販売とは」という疑問を持つ場合があるだろう。ディーラーから特定のオプションやサービスを強く勧められ、購入を強制されていると感じるケースも少なくない。このような販売方法は、独占禁止法に違反する「抱き合わせ販売」に該当する可能性があり、実際に公正取引委員会がトヨタモビリティ東京に警告を発する事例も発生している。この問題は、人気車種の転売対策を背景に販売手法が変化する中で生じていると考えられている。本記事では、抱き合わせ販売の意味や定義から法的規制、そして納車前のユーザーが取るべき対策や納車後の救済措置、さらに公正取引委員会への通報と相談方法まで、多角的に解説する。不要なオプションの変更やディーラーローンから低金利ローンへの切り替えといった具体的な交渉術も紹介し、読者が不当な取引から自身を守るための知識を深められるよう、詳細に説明していく。

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トヨタ アルファード 抱き合わせ 販売とは？その法的問題

抱き合わせ販売の意味と定義を解説

抱き合わせ販売とは、本来消費者が求める主たる商品やサービスに対し、別の商品やサービスをセットで販売する手法の総称である。この販売方法は、人気のある商品と売れ行きが芳しくない不人気商品を組み合わせて販売数を確保する目的や、在庫処分、あるいは新サービスの知名度向上などを図るために用いられる場合がある。消費者が人気商品を手に入れるために、不要な不人気商品も同時に購入せざるを得ない状況が生まれることが特徴だ。

この手法が問題とされる主な点は二つある。一つは、消費者が望まない商品やサービスの購入を強制される側面である。消費者が個別に商品を選ぶ自由が奪われることは、その自主的かつ合理的な選択を阻害する。もう一つは、競合他社を不当に排除する側面である。特に市場で大きなシェアを占める企業がこの手法を用いると、従たる商品の市場における競争業者の活動を著しく妨げたり、新規参入を困難にしたりする「市場閉鎖効果」が生じると考えられている。このような状況は、自由かつ公正な競争を阻害し、独占禁止法に抵触する可能性をはらんでいる。全てのセット販売が違法となるわけではなく、問題となるのは取引相手に不当な不利益を与える手法や、公正な競争を阻害する場合である。

トヨタモビリティ東京への警告事例

2025年4月、公正取引委員会はトヨタ自動車の完全子会社である大手自動車ディーラー、トヨタモビリティ東京（TM東京）に対し、特定の車両販売方法が独占禁止法に違反する恐れがあるとして警告を発した。これは自動車小売り業者が抱き合わせ販売で警告を受ける初めての事例であり、業界内外で大きな注目を集めている。

この警告の対象となったのは、人気車種である「アルファード」「ヴェルファイア」「ランドクルーザー」の3車種である。TM東京は2023年6月から2024年11月までの期間、これらの車種の購入希望者に対し、ボディーコーティングやメンテナンスパックの契約、トヨタファイナンス指定のローン利用、あるいは下取り車の入庫を事実上強制していた疑いが持たれた。TM東京は「一部の営業活動の中で、ボディーコーティングなどをお客さまに強く勧めるなどの行為が認められた」と説明しているものの、公正取引委員会は、サービスを契約しなければ車を売らないケースも存在したと指摘している。この警告を受け、TM東京は2024年11月に全従業員に対し抱き合わせ販売に該当する行為を行わないよう指示し、対象の顧客には販売店から順次連絡を取り、契約内容を確認した上で適切に対応すると表明している。

独占禁止法における抱き合わせ販売の規制

日本において、抱き合わせ販売は「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」、通称「独占禁止法」によって厳しく規制されている。独占禁止法第19条は、不公正な取引方法を用いてはならないと定めており、抱き合わせ販売はこの「不公正な取引方法」の一つとして具体的に指定されている。

不公正な取引方法とは、事業者間の公正な競争を阻害する恐れがある行為として独占禁止法が禁止するものであり、その具体的な内容は公正取引委員会の告示「不公正な取引方法（一般指定）」において定められている。一般指定の第10項には「相手方に対し、不当に、商品又は役務の供給に併せて他の商品又は役務を自己又は自己の指定する事業者から購入させ、その他自己又は自己の指定する事業者と取引するように強制すること」と明確に記されている。この条文から、セット販売が独占禁止法に違反する抱き合わせ販売とみなされるには、「不当」であることと「強制」であることの二つの要件を満たす必要がある。これらの要件が満たされた場合、違反した事業者には公正取引委員会による排除措置命令が下され、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されるほか、法人には3億円以下の罰金が科される可能性もある。また、被害を受けた取引先からは差止請求や損害賠償請求を受けることもある。

「不当」と「強制」の判断ポイント

抱き合わせ販売が独占禁止法に違反するかどうかを判断する上で、「不当」と「強制」の二つの要件の解釈は極めて重要である。

「不当」であるかどうかの判断は、主に「市場閉鎖効果」が生じるかどうかによってなされる。市場閉鎖効果とは、抱き合わせ販売によって既存の競争者の事業活動が阻害されたり、新規参入が困難になったりする状況を指す。この効果の有無は以下の要素に基づいて総合的に判断される。

• ブランド間競争の状況（市場集中度、商品特性、製品差別化の程度、流通経路、新規参入の難易度など）
• ブランド内競争の状況（価格のばらつき、流通業者の業態など）
• 抱き合わせ販売をする事業者の市場における地位（市場シェア、順位、ブランド力など）
• 抱き合わせ販売が他の事業活動に及ぼす影響（制限の程度、態様など）
• 影響を受ける他の事業者の数と市場における地位

特に、販売事業者の市場シェアが高ければ高いほど、抱き合わせ販売が「不当」であると判断される可能性は高まる。

一方、「強制」であるかどうかの判断は、買い手側が商品をバラバラに購入できる選択肢が残されているかどうかがポイントとなる。しかし、バラバラに購入した場合の価格が異常に高くなるなど、実質的に抱き合わせ販売を強いられていると評価できる状況も「強制」に該当する可能性がある。単に商品を強く推奨するだけでは直ちに強制とはならないものの、推奨が行き過ぎると強制と捉えられるリスクがあることに留意すべきだ。

人気車種の転売対策と販売手法の変化

人気車種、特にアルファードやランドクルーザーのようなモデルは、新車価格を上回る中古車相場や、半導体不足による供給制約、円安などを背景に、転売や輸出目的での購入が増加傾向にある。ディーラー側は、転売によって本当にその車を必要としている顧客に適正な価格で届けられない事態を問題視しており、これが転売対策を講じる動機となっている。

当初、多くのディーラーは転売を行わない旨の誓約書への記入を求めるなどの対応を取っていた。しかし、転売自体は法律で明確に禁止されている行為ではない（唯一「チケット不正転売禁止法」のような例外は存在する）ため、これらの対策は期待した効果が得られず、徐々に対策は厳しくなっていった。その結果、いつしか転売対策が、ボディーコーティングやメンテナンスパック、ディーラー指定ローン、下取り車の入庫といった商品の抱き合わせ販売を強制するような不適切な販売手法へと変質していったと見られている。実際、このような行き過ぎた転売対策に対する苦情は、2023年に50件であったものが、2024年には180件に急増している。

自動車公正取引協議会も、この不適切な販売方法について会員向けに注意喚起を行っているが、「強制力はない」とされており、実態としてディーラーの販売方法は変わっていないのが現状だ。この問題は、車の供給不足や適正な値付けに関する自動車業界全体の課題として認識されている。

転売対策としての販売行為と顧客への影響

トヨタ アルファード 抱き合わせ 販売への対処法とは

納車前のユーザーが取るべき対策

新車の契約後、まだ納車されておらず、特に車両登録（ナンバープレートの作成や車検証の発行）が完了していない状態であれば、不要な抱き合わせ販売に対処する有効な手段が存在する。この時期であれば、メーカーオプションや車種、グレード以外の付属品オプションや費用項目については変更が可能である。これを業界用語では「条件変更」と呼ぶ。

具体的な対策として、以下の3つのステップを実行することが有効である。

不要なオプションの変更

まず、ディーラーコーティングやメンテナンスパックなど、本来不要であるにもかかわらず強制的に契約させられたオプションについて、担当営業担当者に「外してください」と伝える。これらの商品は一般的に割高であるため、慎重に検討し、本当に必要ないと感じる場合は交渉すべきである。

下取り車の見直し

ディーラーに下取り車を出すよう強制されている場合、複数の買取業者で査定を受けることが大切である。ディーラーの下取り価格は一般的に安価に設定されていることが多く、他社と比較することで数十万円以上高く売却できる可能性がある。ただし、一括買取査定サービスは電話が鳴り止まないなどのデメリットや、悪質な業者にあたるリスクもあるため、信頼できる一社査定を検討することが推奨される。

ディーラーローンの借り換え

ディーラー指定のローン、特に残価設定型プラン（残クレ）などを強制されている場合で、車の購入をローンで行う必要があるならば、低金利の銀行ローンへの切り替えを検討する。銀行のカーローンは、ディーラーローンと比較して金利が大幅に低い場合が多く、総支払額を大きく節約できる。

不要なオプションの変更と交渉術

納車前の段階で、抱き合わせ販売によって不要なオプションの契約を強いられたと感じる場合、その変更を交渉する余地は十分にある。ディーラーコーティングやメンテナンスパックは、消費者にとって必ずしも最適な選択肢ではない場合が多く、その多くはディーラー側の利益率が高い割高な商品だ。

変更交渉の第一歩は、担当営業担当者に対し、具体的にどのオプションが不要であるかを明確に伝え、それらを契約から外すよう依頼することである。本来であれば、営業担当者はこの要望に応じ、契約内容の変更手続きを進めるべきである。しかし、もし営業担当者が「それはできません」と拒否したり、「コーティングやメンテナンスパックは契約の必須条件です」などと不当な理由で変更を拒否したり、あるいは契約の取り消しを示唆するような対応を取ったりした場合、それは抱き合わせ営業に該当する可能性が高い。

このような状況に直面した際には、一歩踏み込んだ交渉術が必要となる。具体的には、相手に対し「今回トヨタモビリティ東京が公正取引委員会から独占禁止法第19条違反で警告を受けている抱き合わせ営業に該当しますが、大丈夫でしょうか。今行っている行為は法律違反です」と明確に伝えることだ。この言葉を伝えることで、営業担当者も問題の重大性を認識し、上司に相談するなど対応が変化する可能性が高い。多くの場合、ここまで伝えれば契約内容の変更に応じてくれるだろう。

ディーラーローンから低金利ローンへ

新車購入時にディーラー指定のローン、特に残価設定型プラン（残クレ）の利用を強く勧められたり、実質的に強制されたりしている場合でも、低金利の銀行ローンに切り替えることで、総支払額を大幅に削減できる可能性がある。ディーラーローンは利便性が高い一方で、一般的に金利が銀行のカーローンよりも高く設定されている傾向があるためだ。

この切り替えは、まだ新車の登録が完了していない納車前の段階であれば、特にスムーズに進められる。まず、自身に合った低金利の銀行カーローンを見つけることから始める。多くの銀行が様々なカーローン商品を提供しており、インターネット上でシミュレーションや仮審査が可能なサービスも存在する。審査が承認されたら、ディーラーの担当営業担当者に対し、支払い方法を銀行ローンに変更する旨を伝える。そして、すでにディーラーローンを申し込んでいた場合は、その取り消しを依頼すればよい。

すでにディーラーローンを組んでしまった納車後のユーザーであっても、低金利の銀行ローンへ借り換えを行うことは可能である。この場合、ディーラーの担当営業担当者に直接連絡する必要はなく、直接クレジット会社に連絡してローンの一括返済を申し込むことができる。クレジット会社は一括返済の申し出に何事もなく応じるのが一般的だ。一括返済が完了すれば、その後クレジット会社からディーラーへ情報が伝わるが、その時点ではすでに借り換えが完了しており、ディーラー側がどうすることもできない状況となる。

納車後ユーザーの救済措置と注意点

すでに新車の登録が完了し、納車も済んでしまった後でも、抱き合わせ販売によって不当に契約させられたと感じる商品やサービスに対して、いくつか対応可能な救済措置が存在する。

ディーラーローンの借り換え

納車後であっても、ディーラーローンから低金利の銀行カーローンへ借り換えを行うことは可能である。前述の通り、これはディーラーを通さず直接クレジット会社に連絡して一括返済し、銀行ローンを組むことで実行できる。金利負担が数十万円以上軽減されるケースも珍しくないため、抱き合わせ販売の有無にかかわらず、ディーラーローンを利用しているすべてのユーザーにとって検討する価値がある。

メンテナンスパックの解約と返金

メンテナンスパックは、将来の点検費用などを前払いする形で契約するサービスであり、ディーラーにとっては預かり金のような性質を持つ。まだ点検を受けていない、あるいは不要と感じる場合は、ディーラーに解約を申し出て、未使用分の費用を返金してもらうよう要求できる。一般的なディーラーであれば、未消化分は返金されるべきものである。しかし、一部のディーラーでは「返金できない」「すでに売上計上済み」などと不適切な対応を取る場合があるが、これは経理上の問題であり、本来は返金されるべき費用である。

コーティングや下取り車に関する注意点

一方で、納車後にボディーコーティングが既に施工されている場合や、下取り車が既にディーラーに引き渡されてしまっている場合、これらの項目については損害賠償請求や契約の取り消しを行うことは極めて難しいのが現実だ。特に、抱き合わせ販売の明確な書面証拠や電話録音などの物証がない限り、法的な解決は困難な可能性が高い。このため、納車後のユーザーは、担当営業担当者に今回の抱き合わせ販売の事実を共有し、今後の対応について円満な落とし所を探ることが賢明な場合も考えられる。

公正取引委員会への通報と相談

抱き合わせ販売の被害に遭い、ディーラーが適切な対応をしない場合、公正取引委員会への通報と相談を検討することが重要である。公正取引委員会は、独占禁止法違反の疑いがある行為に対し、警告や排除措置命令などの措置を取る国の機関である。

通報のタイミングと方法

ディーラーに対し、今回の行為が独占禁止法違反である可能性を指摘してもなお改善が見られない場合、または不当な対応が続く場合は、躊躇なく公正取引委員会に連絡すべきだ。具体的な連絡先は以下の通りである。

• 公正取引委員会事務総局審査局第2審査
  • 電話番号：03-3581-3384
  • ウェブサイトでの申告窓口：独占禁止法違反事実についての申告窓口（公正取引委員会の公式サイト）
  • 参照元：公正取引委員会ウェブサイト「相談・申告・情報提供・手続等窓口」

ウェブサイトからも申告できるため、まずは詳細な情報を整理し、冷静に状況を説明できるよう準備することが望ましい。

通報の意義

公正取引委員会への通報は、単に個人の金銭的な被害を取り戻すためだけでなく、より広い意味を持つ。仮に個人の損害賠償請求が物証の不足により困難な場合であっても、事案を報告すること自体に大きな意義がある。全国から同様の事案が多く寄せられれば、公正取引委員会は事態を重く受け止め、メーカーや販売会社に対し何らかの対応策を迫る可能性がある。これにより、将来的に他の消費者が同様の被害に遭うことを未然に防ぎ、自動車業界全体の取引の公正性を高めることに繋がる。消費者が声を上げることが、業界の健全化にとって不可欠である。

トヨタ アルファード 抱き合わせ 販売に関するまとめ

• 抱き合わせ販売とは、メイン商品に別の商品やサービスを強制的にセット販売する手法だ
• 不要な購入の強要や競合他社の不当な排除は独占禁止法で禁止されている
• 公正取引委員会はトヨタモビリティ東京に抱き合わせ販売の疑いで警告を発した
• 対象車種はアルファード、ヴェルファイア、ランドクルーザーなどが含まれていた
• ディーラーはボディコーティング、メンテナンスパック、ローン、下取りなどを強制していた
• 独占禁止法違反の判断には「不当」かつ「強制」の二つの要件が重要になる
• 「不当」は市場閉鎖効果の有無、事業者の市場シェアの高さが判断基準となる
• 「強制」はバラバラ購入が実質的に困難な場合も該当すると考えられる
• ディーラーの抱き合わせ販売は人気車種の転売対策の一環として生じた背景がある
• 転売対策が行き過ぎて不適切な販売手法に変質したことが問題視されている
• 納車前のユーザーは不要なオプションやディーラーローンを交渉により変更可能だ
• 下取り車は複数の買取業者で査定し、高値で売却することも検討すべきだ
• 納車後のユーザーでもディーラーローンから低金利ローンへの借り換えはできる
• メンテナンスパックは未使用分であれば解約と返金を要求することが可能だ
• 問題が解決しない場合は、公正取引委員会への通報が業界全体の改善に繋がる