こんにちは!トヨタ車とトヨタの「カイゼン」が大好きな、トヨリスト運営者のトヨタロウです。
世界販売台数トップを走り続ける巨大企業、トヨタ自動車。毎年のように過去最高の業績を更新しているニュースを目にするのに、「あれ、株価は意外と安いな…」と感じたことはありませんか?私自身、いつもそのギャップに不思議に思っていました。特にEV(電気自動車)で市場を席巻するテスラのような企業と、株価の割安さを示すPER(株価収益率)を比べてみると、その評価の差に本当に驚かされますよね。
2021年には株式分割があって、以前よりずっと少ない資金で株主になれるようになり、私たち個人投資家にもグッと身近になりました。それなのに、なぜか株価が上がらない、むしろ重たい展開が続いているように感じます。今後の見込みはどうなのか、配当利回りは高いけれど、このまま長期で持ち続けて本当に大丈夫なんだろうか、といった不安や疑問が尽きない方もきっと多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな「トヨタの株価がなぜ安いのか?」という多くの人が抱く大きな疑問について、私なりに様々な情報を集めて分析したことを基に、難しい専門用語はなるべく避けながら、できるだけ分かりやすく、そして深く掘り下げて解説していきます。この記事を読み終える頃には、トヨタ株を取り巻く複雑な事情がきっとクリアになり、ご自身の投資判断の助けになるはずです。
- トヨタ株が「割安」と評価される具体的な数値的根拠
- 株価の上昇を妨げている構造的な4つの大きな問題点
- 円安やトランプ関税といった無視できない外部環境のリスク要因
- 今後の株価を占うポジティブ・ネガティブ両面のシナリオ
トヨタ株価がなぜ安いのか?その構造的な理由
まず最初に、トヨタの株価がその実力に対して割安に評価されてしまう「構造的」な理由、つまり企業内部の体質や株式市場独特の評価の仕組みに目を向けてみましょう。単に「業績が良いから株価も上がるはず」という単純な話ではない、いくつかの根深い要因が絡み合っているようです。一緒にその謎を解き明かしていきましょう。
PERで比較するテスラやBYDとの評価差
株価が割安かどうかを判断する上で、最もポピュラーな指標の一つがPER(株価収益率)です。これは、会社の「1株あたりの利益」に対して、株価がその何倍まで買われているかを示す指標で、「投資した資金を何年分の利益で回収できるか」という目安にもなります。一般的に、この数値が低いほど株価は割安と判断されます。
では、トヨタとライバル企業のPERを比較してみると、どうなっているのでしょうか。2026年初頭時点のデータを基に見てみると、非常に興味深く、そして衝撃的な事実が浮かび上がってきます。
この表を見て、どう感じますか? トヨタのPERが一桁台なのに対し、テスラはその約30倍、成長著しい中国のBYDでさえトヨタの倍近い評価を受けています。利益をしっかり出しているトヨタがなぜこんなに低く評価されるのか、本当に不思議ですよね。
この巨大な評価ギャップの根源には、株式市場が企業を評価する際の「モノサシ」の違いがあります。
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トヨタへの評価軸: 市場はトヨタを、景気の波に左右されやすく(シクリカル産業)、工場などの巨大な設備投資が必要な「伝統的な製造業」として見ています。製造業は急成長が難しく、利益の伸びしろにも限界があるため、歴史的に高いPERはつきにくいのです。市場はトヨタの「現在の安定した収益力」を評価していますが、そこに留まっていると言えます。
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テスラへの評価軸: 一方で市場は、テスラを単なる自動車メーカーとは見ていません。彼らは車を売るだけでなく、FSD(完全自動運転)ソフトウェア、エネルギー事業(蓄電池)、さらには人型ロボットまで手がける「AIを核としたテクノロジー企業」と評価しています。投資家たちは、これらの事業が将来とてつもない利益を生むという「未来の夢(ストーリー)」に対してお金を投じているのです。
つまり、トヨタにはこの「夢や物語に対するプレミアム(上乗せ価値)」がほとんど付与されていない状態なんですね。これが、業績の規模とは裏腹に株価が割安に放置されている一つ目の、そして最大の構造的理由だと私は考えています。
PBR1倍が示す資本効率への市場の懸念
次に注目したいのが、PBR(株価純資産倍率)という指標です。これは、会社の「純資産(会社が解散した時に株主に残る理論上の価値)」に対して、株価がその何倍になっているかを示すものです。PBRが1倍ということは、株価と会社の解散価値が同じということ。もし1倍を大きく下回るようだと、市場から「事業を続けるより、いっそ会社を畳んで資産を分配した方が価値がある」とまで評価されている、非常に厳しい状態を意味します。
トヨタのPBRは、長年にわたりこの1倍をわずかに超える水準で推移してきました。これはつまり、市場がトヨタの持つ世界的なブランド力、卓越した生産技術、優秀な人材といった「帳簿には載らない無形資産」に対して、大きな付加価値を認めていない、ということを示唆しています。
なぜ、これほどまでに評価が低いのでしょうか。その核心にあるのが「資本効率」の問題です。
トヨタは世界でも有数の超優良企業であり、手元には巨額の現金預金や、グループ企業の株式(いわゆる政策保有株・持ち合い株)を大量に保有しています。これは経営の安定性という面ではプラスですが、投資家、特に効率性を重視する海外の機関投資家からは、「その潤沢な資金を事業投資や株主還元にもっと有効活用すれば、さらに大きな利益を生み出せるはずだ」という厳しい目で見られています。
この問題を象徴するのが、2026年初頭に話題となった豊田自動織機の買収を巡る一件です。”物言う株主”として知られる米アクティビストファンドのエリオット・マネジメントが、トヨタが提示した買収価格に対して「安すぎる」と公然と反対しました。彼らの主張の根拠は、「豊田自動織機が保有するトヨタ株の価値を考えれば、企業価値はもっと高いはずだ」というもので、これはまさに日本の「持ち合い株」構造の弊害を世界に示した形となりました。
こうした複雑で非効率に見える資本構造を投資家は嫌気し、一種の「複雑性ディスカウント」として株価を押し下げているのです。トヨタも自社株買いや増配で株主還元を強化していますが、市場の厳しい評価を覆すには至っていないのが現状です。
株式分割後の株価が上がらない個人投資家心理
2021年10月、トヨタは1株を5株にする株式分割を実施しました。これによって、それまで最低でも100万円近い資金が必要だったトヨタ株への投資が、20万円台から可能になりました。NISA(少額投資非課税制度)の枠内でも買いやすくなり、私たち個人投資家にとっては、まさに待望のニュースでしたよね。
実際に、この株式分割を機にトヨタの個人株主数は激増しました。しかし、皮肉なことに、この「投資家層の拡大」が、かえって株価の上値を重くしているという側面も指摘されています。
どういうことかというと、株式分割によって、これまでトヨタ株に興味を持たなかったような、比較的短期的な値動きを重視する個人投資家が多く市場に参加するようになりました。彼らの投資行動には、以下のような傾向が見られることがあります。
- 株価が下がると「安くなった」と感じて買い向かう(下値を支える要因になる)。
- しかし、株価が少し上昇すると、すぐに利益を確定させようと売りに出す(上値を抑える要因になる)。
つまり、株価が本格的な上昇トレンドを描こうとしても、常に個人投資家からの「やれやれ売り」や「利食い売り」といった売り圧力がかかり、結果として一定のレンジ内での動きに終始しやすくなるのです。
また、心理的な「アンカリング効果」も無視できません。株価の絶対値が小さくなったことで、「買いやすい」と感じる一方で、かつてのような「日本を代表する値がさ株」としての威厳や高級感が薄れ、短期売買の対象と見られやすくなった可能性も考えられます。もちろん、本質的な企業価値は株価の絶対値で決まるものではありませんが、市場参加者の心理が株価に影響を与えることもまた事実なのです。
EVが遅れているという戦略への厳しい評価
トヨタの経営戦略の根幹をなすのが「マルチパスウェイ(全方位)」戦略です。これは、特定の動力源に絞るのではなく、エンジン車、ハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、そして燃料電池車(FCEV)まで、世界中の多様な顧客ニーズやエネルギー事情に合わせて、最適な選択肢を提供し続けるという考え方です。
現実の世界を見ると、一時期の熱狂的なEVブームが落ち着き(キャズム越えの難しさ)、充電インフラの整備の遅れや航続距離への不安から、消費者がより現実的な選択肢としてハイブリッド車を見直す動きが世界的に広がっています。その結果、トヨタの得意とするハイブリッド車は絶好調で、会社の利益の大きな柱となっています。この点だけを見れば、トヨタの戦略は大成功していると言えますよね。
しかし、株式市場、特に環境問題を重視する欧米のESG投資家や、テクノロジー業界のアナリストからの評価は全く異なります。彼らの目には、トヨタのマルチパスウェイ戦略は、「EVへの本格的な移行をためらう、旧態依然とした企業の言い訳」と映ることが少なくありません。
市場には、このような評価バイアスが存在すると言われています。
- ハイブリッドで得た利益 → 将来性がない過去の技術による「一時的な儲け」と見なされ、低いPERしか与えられない。
- EVで得た利益(あるいは将来の期待) → 未来の自動車産業の覇権を握る技術による「質の高い儲け」と見なされ、非常に高いPERが許容される。
そのため、トヨタがハイブリッド車でどれだけ莫大な利益を稼ぎ出しても、それが株価評価(専門用語でマルチプルと言います)の上昇には繋がりにくい、というジレンマに陥っているのです。2025年後半にトヨタがEV販売目標を下方修正したというニュースが流れた際には、それが「競争からの脱落」と見なされ、株価の重しとなりました。この「現実の成功」と「市場の物語」との間の深い溝が、トヨタ株価が安く放置される大きな要因の一つになっています。
全固体電池など将来技術の織り込み不足
「トヨタにはテスラのような未来の夢がないのか?」と問われれば、答えは断じて「ノー」です。トヨタは水面下で、自動車業界の未来を根底から変えうる、とてつもないポテンシャルを秘めた次世代技術の開発を進めています。その代表格が「全固体電池」と、車の頭脳となる車載OS「Arene(アリーン)」です。
ゲームチェンジャー「全固体電池」への期待と懐疑
全固体電池は、現在のリチウムイオン電池が抱える課題(航続距離、充電時間、発火リスクなど)を解決する切り札とされ、これが実用化されればEVの普及が一気に加速すると言われています。トヨタはこの分野で世界トップクラスの特許数を誇り、実用化に最も近い企業と目されています。まさに「ゲームチェンジャー」となりうる技術です。
しかし、問題は、この素晴らしい技術の価値が、まだほとんど現在の株価に反映されていないことです。なぜでしょうか。それは、トヨタが長年にわたり「全固体電池を実用化する」と発表し続けてきたものの、具体的な量産化の道筋が投資家には見えにくいためです。「本当に実現できるのか?」という懐疑的な見方が根強く、一部では「やるやる詐欺」とまで揶揄されることもあります。
ソフトウェアが車を定義する「Arene」の可能性
もう一つの柱である「Arene」は、車をハードウェア中心の「売り切り型商品」から、ソフトウェアのアップデートによって機能が進化し、様々なサービスから継続的に収益を得る「サブスクリプション型商品」へと変革させる可能性を秘めています。これはSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)と呼ばれる次世代の車の根幹をなす技術です。
しかし、このソフトウェア領域では、テスラはもちろん、Google(Android Automotive)やAppleといった巨大IT企業が強力なライバルとして存在します。市場は、「製造業の雄であるトヨタが、ソフトウェアを核とする競争で本当に勝者になれるのか?」という点にも、まだ確信を持てていません。
なぜ安い?トヨタ株価を左右する外部要因と今後
ここまではトヨタ自身の内部的な要因を中心に見てきましたが、株価は当然ながら、企業の努力だけではどうにもならない「外部環境」にも大きく左右されます。ここでは、現在のトヨタ株を取り巻く政治・経済的な逆風や、グローバルな競争環境に焦点を当て、今後の見通しを探っていきたいと思います。
円安でも利益が伸び悩むコスト高の罠
「円安は輸出企業にとって追い風」というのが、経済の教科書に載っているセオリーですよね。海外での売上が円換算で増えるため、トヨタのようなグローバル企業にとっては、業績を押し上げる大きなプラス要因になるはずです。実際に、1ドル=150円を超える歴史的な円安水準は、トヨタの売上高を過去最高に押し上げる一因となりました。
しかし、最近の決算内容を詳しく見ていると、その恩恵を手放しでは喜べない「円安の罠」とも言うべき状況が浮き彫りになってきます。それが、あらゆるコストの高騰です。
円安は、輸出に有利な一方で、輸入には不利に働きます。自動車を一台作るためには、非常に多くの原材料や部品を海外から輸入する必要があります。
- 原材料費の高騰: 車体の基本となる鉄鋼やアルミニウム、樹脂部品、そしてバッテリーに不可欠なリチウムといった資源の多くはドル建てで取引されるため、円安が進むほど仕入れ価格は上昇します。
- エネルギーコストの上昇: 工場を動かすための電気やガスといったエネルギーも、原油や天然ガスの輸入価格に連動するため、円安と資源高のダブルパンチでコストを押し上げます。
トヨタ自身も決算説明会で、営業利益の変動要因として、為替変動によるプラス効果を「資材高騰」によるマイナス効果が大きく相殺していることを繰り返し説明しています。つまり、円安で得た利益が、コスト上昇でどんどん削られてしまっているという構図です。
復活が懸念されるトランプ関税の直接的影響
2026年時点の株式市場において、トヨタの株価を左右する最大の不確定要素であり、最も恐れられているリスクの一つが、米国の政治情勢、とりわけ「トランプ関税」の再来です。「アメリカ・ファースト」を掲げる保護主義的な通商政策が再び本格化した場合、トヨタの業績に致命的な打撃を与えかねません。
ご存知の通り、北米市場はトヨタにとって世界で最も多くの利益を稼ぎ出す、まさに「ドル箱」の市場です。現在、カムリやRAV4といった量販車種の多くは米国内での現地生産が進んでいますが、問題は利益率が非常に高い高級車ブランド「レクサス」の多くが、依然として日本からの輸出に頼っている点です。
もし、これらの完成車に対して高い関税が上乗せされることになれば、その影響は計り知れません。報道やアナリストレポートによれば、仮に追加関税が発動された場合、トヨタの営業利益はわずか2ヶ月間で1,800億円(約13億ドル)も減少するとの衝撃的な試算も出ています。通期では、これが1兆円規模の利益圧迫要因になる可能性も否定できません。
株式投資の世界で最も嫌われるのは、利益が減ることそのものよりも「不確実性(Uncertainty)」です。関税が実際にどのくらいの税率で、いつから、どの車種に課されるのかが全く予測できない状況では、機関投資家はリスクを計算することができません。そのため、彼らは万が一の事態に備えて、トヨタの理論株価から一定のリスク分を割り引いて(ディスカウントして)評価せざるを得なくなります。この「トランプリスク」が現実のものとなるかどうかに関わらず、その懸念が存在するだけで、株価の上値を強力に抑えつける要因となっているのです。
認証不正が招いたガバナンスへの不信感
近年、トヨタグループを揺るがしているのが、ダイハツ工業、日野自動車、豊田自動織機、そしてトヨタ自動車本体で相次いで発覚した、製品の性能や安全に関する認証不正問題です。この一連の問題は、単なる業績への短期的な影響に留まらず、トヨタが長年かけて築き上げてきた企業価値の根幹を揺るがす、非常に深刻な事態だと私は考えています。
直接的なダメージとしては、ヤリスクロスやカローラフィールダーといった人気車種が一時的に生産・出荷停止に追い込まれ、販売機会の損失という形で売上と利益を直撃しました。しかし、それ以上に深刻なのは、目に見えないダメージ、つまりブランド価値の毀損です。
「品質のトヨタ」「世界のトヨタ」というブランドイメージは、安全と信頼の上に成り立っています。この信頼が揺らいだことは、顧客離れのリスクを高めるだけでなく、企業の内部統制、すなわち「コーポレート・ガバナンス」に対する投資家からの厳しい視線につながっています。
中国市場での敗退懸念と成長ストーリーの欠如
かつては日本車メーカーにとって無限の成長が見込める「黄金の市場」だった中国。しかし、今やその姿は一変し、トヨタにとっては最大の頭痛の種、そして投資家にとっては将来性への懸念を抱かせる最大のリスク要因の一つと化してしまいました。
現在の中国市場では、国策の後押しを受けたBYDを筆頭とする地場の新興EVメーカーが、驚異的なスピードで成長しています。彼らは、先進的なスマート機能と圧倒的な低価格を武器に、瞬く間に市場を席巻。その結果、これまで高いブランド力で市場をリードしてきたトヨタやホンダ、日産といった日系メーカーは、軒並み販売不振に陥り、シェアを急激に落としています。
この問題の深刻さは、単に「一つの地域で売上が落ち込んでいる」というレベルの話ではない点にあります。
- 世界最大の市場での敗退: 中国は、販売台数で米国を上回る世界最大の自動車市場です。この巨大市場での存在感の低下は、グローバルな販売台数の上積みを困難にし、将来の成長ポテンシャルを大きく削ぐことにつながります。
- 熾烈な価格競争: シェアを維持するために、トヨタも大幅な値下げを余儀なくされています。しかし、バッテリーから半導体まで自社で生産する「垂直統合モデル」で圧倒的なコスト競争力を持つBYDに対抗するのは容易ではなく、値下げ競争はトヨタの利益率を直接的に毀損します。
- 長期的な成長ストーリーの喪失: 投資家が企業に投資する際、最も重視するのが「将来の成長ストーリー」です。その最大の舞台であった中国市場で苦戦を強いられているという事実は、投資家に対して「トヨタの成長にはもはや限界があるのではないか」というネガティブな印象を与えてしまい、株価に長期的な下押し圧力をかけることになるのです。
もちろん、トヨタも手をこまねいているわけではなく、現地開発体制を強化したり、中国市場向けの新たなEVを投入したりと反撃を試みています。しかし、一度変わり始めた市場の大きな潮流を覆すのは並大抵のことではありません。この中国での苦戦が、トヨタの株価が安いまま放置される大きな理由の一つであることは間違いないでしょう。
配当は高いが今後の株価上昇の見込みは?
ここまでトヨタ株のネガティブな側面を多く見てきましたが、「株価は安いかもしれないけど、その分、配当利回りが高いから魅力的なのでは?」と考える方も多いと思います。実際、その通りで、トヨタは安定して高い配当を出し続けてくれる、日本を代表する高配当株として、特に長期投資家から絶大な人気を誇っています。
毎年着実に配当金(インカムゲイン)を受け取りながら、気長に株価の上昇を待つ、という投資戦略は、特にNISAなどを活用する上では非常に有効な選択肢の一つだと思います。トヨタ自身も、利益成長に合わせて配当を増やしていく「累進配当」に近い方針を示しており、株主還元の意識は非常に高い企業です。
しかし、もしあなたが投資の目的として、配当よりも株価そのものの値上がり益(キャピタルゲイン)を重視するのであれば、今後の見通しについては少し慎重に考える必要があるかもしれません。
これまで解説してきたように、現在のトヨタの株価には、
- 市場からの低い成長期待: 「製造業の天井」と「EV遅れ」というレッテル。
- 資本効率への懸念: 潤沢すぎる手元資金と複雑なグループ構造。
- 外部リスクの存在: トランプ関税や中国市場での競争激化といった不確実性。
- ガバナンス問題: 相次ぐ認証不正による信頼の低下。
といった、いくつもの構造的な「重し」が乗っかっています。これらの根本的な問題が解決に向かわない限り、株価がテスラや半導体関連株のように、短期間で数倍になるような爆発的な上昇を見せることは考えにくいのが現実です。
結論としてトヨタの株価がなぜ安いかの答え
さて、ここまで本当に長い道のりでしたが、様々な角度から「トヨタの株価はなぜ安いのか?」という大きな問いを掘り下げてきました。最後に、この記事の結論として、私なりの答えをまとめたいと思います。
結論。それは、「世界トップクラスの『現在の収益力』と『財務の安定性』に対して、市場が抱く『将来の成長性への懸念』『複雑な企業構造への不満』そして『外部環境の不確実性リスク』といったネガティブな要素が、過剰なまでに株価に織り込まれてしまっているから」だと考えます。
PERが一桁台という評価は、ある意味で、これまで挙げてきた
- EV戦略への懐疑的な見方
- 資本効率の悪さやガバナンスの問題
- トランプ関税や中国リスク
といった、考えうるほぼ全ての悪材料を飲み込んだ上での価格設定と言えるかもしれません。これは、見方を変えれば、ここからさらに株価が大きく下落するリスクは限定的で、一定の「安全域(Margin of Safety)」が存在すると捉えることもできます。
今後のトヨタの株価を占う上で、考えられるシナリオは大きく分けて二つあります。
テスラのような夢のある急成長ストーリーを期待する投資家にとっては、トヨタ株の構造的な重さは、今後も物足りなさを感じる要因であり続けるでしょう。しかし、約3%という安定した配当利回りを拠り所に、ハイブリッド戦略の再評価やガバナンス改革による株価の是正(アップサイド)を、腰を据えて待つことができる長期投資家にとっては、現在の「安い」株価は、むしろ魅力的なエントリーポイントを提供してくれているのかもしれませんね。
この記事が、あなたの投資判断の一助となれば、これほど嬉しいことはありません。




